2025 年 6月 22日 (日)
ホーム社会“要塞化”した「段ボール住宅」も…ソウル駅前で一斉清掃、ホームレスの荷物撤去に波紋

“要塞化”した「段ボール住宅」も…ソウル駅前で一斉清掃、ホームレスの荷物撤去に波紋

“要塞化”した「段ボール住宅」=読者提供(c)MONEYTODAY

ソウル市龍山区のソウル駅前広場と地下通路で19日、大規模な環境整備(清掃)作業が実施された。ホームレスらの放置物を一斉に撤去する取り組みで、現場には区役所職員、警察、ホームレス支援団体など30人以上が動員された。

作業が始まると、布団やキャリーバッグ、食卓、段ボールなどさまざまな物が山のように積み上げられた。清掃作業中、布団の中からネズミが飛び出す場面もあり、周囲の市民からは驚きの声が上がった。大型の不要物が撤去された後は、散水車による水洗清掃も進められた。

地下通路の6〜9番出入口付近でも、前日から片付けを始めていたホームレスのおかげで午前中には荷物の大半がなくなっていた。しかし一部のホームレスは地上に避難しながらも、地下で寝転んだり、集まって会話したりする姿も見られた。

特にある高齢女性は、地下鉄駅と通路の間の階段に自作の“要塞”を築いていた。段ボール箱や傘、キャリーバッグを積み上げ、成人男性の腰の高さほどにもなる空間を居住地にしていた。荷物の多さから移動は最後となり、清掃に関わる関係者に対し声を荒らげる場面もあった。

現行法では、地方自治体や警察がホームレスの私物を強制的に撤去する権限はない。過去に中区庁がホームレスの荷物を撤去した際、市民団体の反発に直面した経緯もある。清掃作業はあくまで衛生改善を目的とし、不要物の廃棄を促すに留まっているが、撤去しても再び荷物が積まれていく悪循環が続いている。

実際、現場では腐敗した食品からウジが発生するなど衛生面の問題も指摘されており、周辺商店や建物の管理者からの苦情も後を絶たない。

社会福祉の専門家は、ホームレスへの対応は単なる物理的な排除ではなく、個別の状況把握と説得が重要だと強調する。

崇実大学社会福祉学部のホ・ジュンス教授は「建物の撤去にも法的手続きがあるように、個々のホームレスに対しても段階的な対応が必要だ。路上に残る多くのホームレスは重度の精神疾患やアルコール依存を抱えている。自治体はその実情を正確に把握して対処すべきだ」と述べた。

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