目に挿入するだけでアルツハイマー病を早期診断できる蛍光センサーと、それをスマートフォンでモニタリングする――こんな技術が韓国で開発された。
延世大学龍仁セブランス病眼科のチ・ヨンウ教授と同大化工生命工学科のハム・スンジュ教授の研究チームは、この技術を発表し、長期間の生体内性能を確認したと明らかにした。
アルツハイマー病は脳内に特定のタンパク質が異常に蓄積し、神経炎症を引き起こして徐々に認知障害を誘発する疾患だ。一度損傷を受けた脳は元に戻せないため、早期診断とモニタリングが病気の進行を遅らせる最善の治療法とされる。
しかし、現在の診断方法は、脳脊髄液の採取や高額な装置を用いた検査が必要で、繰り返しモニタリングするのが難しいという課題があった。
研究チームは眼の房水と人工水晶体を利用して、簡単にアルツハイマー病をモニタリングできる診断プラットフォームの開発を目指した。眼は中枢神経系と直接接続しているため、脳疾患関連のタンパク質が検出されやすい。また、アルツハイマー病が多く発症する高齢者は白内障手術で人工水晶体を使用するケースが多いことが着目点となった。
開発されたプラットフォームは、人工水晶体の表面に貼り付けられたハイドロゲルセンサーが、房水内のアルツハイマー病関連タンパク質に反応して蛍光信号を発する仕組み。この蛍光信号はタンパク質の濃度に応じて徐々に増加するため、継続的なモニタリングが可能だ。信号は「インバースオパール(逆オパール)」構造の光学構造体を用いることで増幅された。
さらに、スマートフォンを活用した画像解析技術も開発された。この技術により、蛍光信号が従来より2倍以上鮮明に表示され、視覚的なモニタリングが可能になった。
研究チームは多様な実験を通じて性能を検証した。人工水晶体センサーは試験管内で約4週間にわたってタンパク質濃度に応じた蛍光信号の増加を示した。また、豚の眼を用いた実験では、センサーが生体内で問題なく機能し、長期間の生体内有効性も確認された。
チ・ヨンウ教授は「この診断センサーは、アルツハイマー病の早期診断だけでなく、生体内でのリアルタイムモニタリングを可能にする点で大きな意義がある」とし、「将来的には、緑内障や加齢黄斑変性症などの他の眼疾患や全身疾患への応用を目指し、研究を続ける」と語った。
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