北朝鮮が、新型コロナウイルス感染の致命率が0.003%に過ぎないと内部で主張し、キム・ジョンウン(金正恩)総書記もこれを根拠に「防疫戦線で勝利の勢いをつかんだ」と評価した。だが、医療関係者の間では、北朝鮮の防疫環境を考慮すれば、0.003%の致命率は実態を反映していない数字という指摘が出ている。特にワクチン接種率が事実上「ゼロ」であるため、致命率は少なくとも1%というのが関係者の分析だ。北朝鮮の人口の半分が感染した場合、死亡者数は10万人をはるかに超えるという推定もある。
朝鮮中央通信など北朝鮮国営メディアによると、北朝鮮国家非常防疫司令部は20日までの累積発熱患者が264万6730人であり、死者数は67人とし、新型コロナ関連致命率は0.003%だと明らかにした。こうした集計をもとに、金総書記は防疫が成功的だと評価している。
「防疫緩和」を示唆する発言も出た。キム委員長は「防疫政策をより効率的に調整する」と話した。北朝鮮が主張した致命率0.003%は、世界で最も低い水準だ。
新型コロナ関連の世界各国の統計とニュースをリアルタイムで提供するコロナボードによると、世界の新型コロナの致命率は1.2%で、米国と英国、ドイツ、日本など先進国致命率が0.4~1.2%の間だ。韓国の致命率0.13%もかなり低い水準だが、北朝鮮の主張通りなら、北朝鮮の致命率はダントツに低いことになる。
一方、韓国の医療関係者の多くが、北朝鮮の統計が歪曲されている可能性が高いと見ている。ワクチン接種率が高く、治療剤まで備えても致命率が0.1%より下がりにくいからだ。
梨花女子大木洞病院呼吸器内科のチョン・ウンミ教授は「韓国で治療剤がなくワクチン接種だけの時期の致命率が0.3%だった。北朝鮮のワクチン接種率が事実上ゼロであり、同国の医療環境を考慮すれば、北朝鮮の致命率は少なくとも1%であり、2%になる可能性もある」と述べた。
©MONEYTODAY