2024 年 5月 14日 (火)
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自閉症、老化、視覚復元…人類の「超高難度研究」支援の韓国科学技術研究院

あいさつするユン・ソクジンKIST院長(写真=KIST)(c)KOREA WAVE

「自閉スペクトラム障害(ASD)の原因を遺伝子と細胞単位で究明し、その活動を観察するための超小型チップ形態の顕微鏡を新たに作りました。これをもとに自閉症の治療に効果のある新薬の開発を進めています」

韓国科学技術研究院(KIST)本院で23日に開かれた「2023グローバルリサーチサミット:グランド(GRaND)チャレンジ」で、KIST神経科学研究院のキム・ジョンジン先任研究員が「自閉症早期診断や治療薬開発」について研究成果を発表した

この研究は、2021年にKISTグランドチャレンジ(Globally Recognized and Nationally Dedicating Challenge)事業に選ばれた中の一つだ。KISTは2021年から成功の可能性は非常に低いが、成功すれば世界を変えられる「超高難度研究」を支援するグランドチャレンジ事業を展開している。

自閉症は原因となる遺伝子や神経異常が多様なうえ、相互作用が複雑で正確な発病原因を見つけられずにいる。治療薬もない。KIST研究陣はSHANK3遺伝子など、ASDと関連があるとされる遺伝子の異常が神経の発達に及ぼす影響を調べた。

また、神経障害の治療と回復が可能な時期を把握するため、子ネズミに適用可能なチップサイズの超小型レンズレス顕微鏡も開発した。一般顕微鏡は大きすぎて子ネズミを観察するのに適していないからだ。これによって、乳幼児期に自閉症を早期診断できるようになる。国内外の大学や機関と協力し、自閉症治療のための新薬物質も開発している。

KISTはほかにも視覚障害を負った人が視力を回復できるようにする「人工光受容体基盤視覚復元技術開発」と、老化抑制のための「脂肪免疫誘導老化制御技術開発」事業を2021年にグランドチャレンジの研究課題に選定した。

2022年には効果的な膵臓がん治療法の開発、金属性質を持つセルロースナノ素材、超高出力溶液工程太陽電池などを研究課題に選定した。

この日は、自閉症分野の権威、米マサチューセッツ工科大(MIT)のグーピング・ペン教授と、視力回復分野の大家、スタンフォード大のダニエル・パランカー教授がオンラインで最新研究トレンドについて講演をした。老化分野は世界的専門家であるシンガポール国立大学(NUS)のブライアン・ケナディ碩座教授が「The Longevity Revolution」というテーマで講演した。各分野の関連KIST研究者は、現在進めているグランドチャレンジ研究について発表した。

韓国・国家科学技術研究会(NST)のキム・ボクチョル理事長は祝辞で「失敗のない安定的な研究から抜け出し、新たな研究文化を創り上げた。KISTの新たな挑戦は、模範的な事例になるだろう」と話した。

ユン・ソクジンKIST院長は「成功に安住せず、失敗の可能性は高いが開拓すべき未知の領域に対する世界最高水準の超高難度研究が続けられるよう見守ってほしい」と求めた。

(c)KOREA WAVE

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