自由刑未執行者を減らすためには、裁判に出てこない被告の身柄をあらかじめ確保することも重要だ。自由刑未執行者のうち約67%が裁判に出席せず、欠席裁判で実刑を言い渡されているためだ。また、裁判中の時に捜索令状を受けられれば、刑確定時より多様な方式で追跡が可能になり、所在の把握が少し容易になる。
だが、裁判所と検察の足並みが合わない事例が実務ではたびたび発生している。
◇裁判所と検察、実務改善の必要性
検察側は、裁判所によって捜索令状の発布の仕方に差があると指摘する。刑事司法情報システムを通じて捜索令状を請求する場合、裁判所側は「現在、裁判中の事件であるため、個別の部署で判断すべきだ」という理由で、システムを通じた請求を受け入れない場合も多いという。それゆえ、検察職員らは手作業で書類を作って請求するなど、業務の負担に苦しめられていると訴える。
令状が発行されても、逃走を図る被告にこれが容易にわかってしまうという点も問題だ。令状が受け付けられれば、裁判所「私の事件検索」に令状発行事実が記載される。逃走を図る被告の立場では、時間を稼ぐことができるわけだ。
検察はこうした実務上の問題点を改善するため、▽欠席被告に対する捜索令状の発行▽令状受付の非公開――などについて協議に乗り出す。
◇対策作りに乗り出した国会
自由刑未執行者の数が目立って増えると、国会も法律改正など対策作りに乗り出した。
与党「国民の力」のチョ・スジン議員は昨年9月、自由刑未執行者の所在確認のため、必要な場合、その所在と関係があるものに限り、検察が捜索令状を請求できるようにする内容の刑事訴訟法改正案を代表発議した。捜索が必要とされるが、あらかじめ捜索令状を発行しにくいような緊急な事情がある場合に限り、令状なしで捜索できる――という根拠規定を盛り込んだ。また、刑執行のために必要な調査と関連して、事実照会・任意提出物など押収や参考人に対する調査もできるようにした。
チョ・スジン氏は「刑執行を受けなければならない事実上の脱獄囚が街を闊歩している。国民感情と国民の目線に合う法執行がなされるよう、国会が法案を早く処理しなければならない」と強調した。
最高裁判決後に海外に逃げた家電量販店ハイマートのソン・ジョング(宣鍾九)元会長も、破棄差し戻し審での実刑判決と同時に法廷で拘束されていれば、逃走を阻止できていただろうという指摘が出ている。
チョ・スジン氏は、裁判官が実刑を宣告しても法廷拘束をしない場合、その理由を判決文に正確に明示することを義務付ける法律改正も準備している。
(おわり)
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