
ソウル・清渓川で市民が音楽に耳を傾ける中、韓国の多くの路上パフォーマンスが法的には「違法」のままである現状に市民やアーティストから不満の声が上がっている。パフォーマーの数が増えている一方、合法的に公演できる場所は依然として限られている。
現行法では、正式な屋外公演場を除いた一般の道路や公園での路上演奏は「道路占有」や「公園内迷惑行為」として取り締まり対象となる。実際、ソウル施設公団は2025年7月から一般人が合法的にパフォーマンスできる場所を5カ所から1カ所に縮小した。「ソウルストリートアーティスト」協同組合などの登録アーティストは引き続き5カ所で活動可能だが、一般のパフォーマーは事実上、路上で自由に演奏することが難しい。
市民らはこの現状に不満を示す。「韓国人は“興”の民族なのに、なぜ音楽を制限するのか理解できない」と訴える市民や、「週末だけでも自宅近くでこうした公演が楽しめれば」と希望する声もあった。
一方で、無秩序な音量競争により周囲に迷惑をかける事例も増えており、「節度ある運営が必要」との意見もある。特に競争的に音量を上げて民家や商業施設からの苦情が相次いだ地域では、路上公演が全面禁止されるケースも出ている。
海外ではこうした課題に対して制度的な対応が進んでいる。オーストラリアのメルボルン市では段階的な「バスキング許可制度」を導入し、申請者にはアンプ使用やCD販売も認めている。イギリス・ロンドンでも一部の例外地域を除けば、ほとんどの場所で路上パフォーマンスが可能だ。
韓国でも2017年に「ソウル特別市 路上公演活性化および支援に関する条例」が制定されたが、未だにアーティストの管理や支援体制は整備されていない。
観光学の専門家である漢陽大学のチョン・ランス教授は「路上パフォーマンスは都市文化としての価値があり、うまく整備すれば観光コンテンツとして大きな可能性がある」と語った。また、「文化特区の指定や規制緩和など、制度整備を通じてパフォーマンスの合法化を進めるべきだ」と提言した。
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