
ホームショッピング会社が打撃をこうむれば、有料放送会社も存続が危うくなる。この点で、今回の放送手数料改正案を支持する。
通信業界のある関係者は「放送手数料は有料放送プラットフォームを維持する源泉だ。放送会社とホームショッピング会社の双方がウィンウィンし、持続可能な関係を維持する策を作るだろう」とみている。
双方とも表面的には今回のガイドラインを土台に合理的な案が策定されることを期待している。だが、問題は互いが考える「合理的な案」の内容が違うという点だ。まだ交渉序盤であり、具体的な議論につながっていないところが多いが、改正案が提示した価格算定基準に対する「考え方の違い」については互いに確認した、というのが業界関係者の説明だ。
◇放送手数料の引き下げ
ホームショッピング業界では売り上げの減少、有料放送加入者数減少を深刻にとらえ、手数料の「引き下げ」を主張する。一方、有料放送会社はモバイルとオンライン販売総額に重点を置いている。
ホームショッピング会社は放送手数料が売り上げの60%水準に達する状況であり、放送手数料がさらに引き上げられるならば、これ以上事業の継続が難しいという立場だ。実際、今年第1四半期(1~3月)のCJオンスタイルとGSショップ、現代ホームショッピング、ロッテホームショッピングの売り上げ上位4社の営業利益は前年比32.4%減少している。売り上げも5.4%減だ。
特に、テレビ視聴者数が減ってホームショッピング業界の景気も落ち込んでいるため、放送手数料もそれに合わせて下がる必要があるとする。売り上げと視聴者数がともに減ったため、引き下げは避けられないという主張だ。
一方、有料放送会社は「ホームショッピング会社は、顧客がアプリで決済する場合、割引特典を提供するなど売り上げをモバイルに誘導している」と反論する。ある放送業界関係者は「放送手数料は売上額の60%に達するとしているが、モバイルを含めれば、放送手数料の割合は31%に過ぎない」と指摘する。それだけ放送手数料引き上げの余地もあるという見方だ。
◇ガイドラインの遡及適用はあるのか
今年3月に発表されたガイドラインを遡及適用するかどうかも交渉でネックになっている。
一部の有料放送会社は今年初めから放送手数料交渉を始めたため「以前のバージョンのガイドラインを適用すべきだ」と主張している。
一方、ホームショッピング会社は「交渉開始時期には関係なく、今年の放送手数料交渉は、改正されたガイドラインを適用すべきだ」という立場だ。
科学技術情報通信省も「今年の交渉は、改正されたガイドラインに従うのが適切だ」という立場だが、まだ現場で本格的な交渉が始まっているわけではない。
ある有料放送会社の関係者は「すでに数カ月間進められた交渉を最初から始めることは難しい」と苦言を呈する。
(つづく)
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