第2子が1歳の誕生日を迎えるころ、妻に代わって育児休業を6カ月取得した韓国の中小金融機関の会社員A氏。復職しようとすると、休業前に所属していた営業チームではなく、給与が低い総務チームに配属する辞令が出た。営業に空席がないうえ、総務の人材が不足しており仕方ないという。「育児休業取得が理由で左遷されたのでは」。A氏はそんな考えを拭えない。
韓国では「男女雇用平等と仕事・家庭両立支援に関する法律」(男女雇用平等法)で、労働者なら誰でも満8歳以下や小学2年生以下の子供を養育するため、または妊娠中の母性保護のために事業主に育児休業を申請できる。
男女雇用平等法第19条第3項は「事業主は育児休業を理由に解雇やその他の不利な処遇をしてはならない」と規定している。「不利な処遇」とは、育児休業期間を勤続期間算定から除外したり、合理的理由なしに賃金など労働条件を以前より不利に扱ったりすることを意味する。
また同法第19条第4項は「事業主は育児休業を終えた後には休業前と同じ業務または同じ水準の賃金を支給する職務に復帰させなければならない」と明示している。
では、同じ水準の賃金を支給するなら他の業務に配置しても問題はないのだろうか。
韓国の大型スーパー「ロッテマート」で生活文化マネージャーとして働いていた職員が育児休業を取った後、冷蔵冷凍営業担当に配属された事例では、最高裁が「不当転職に該当する」と判断した。
賃金は同じだったが、最高裁は「同じ水準の賃金を支給する職務」は「実質的不利益のない職務」であるべきだと解釈した。これは休業前後の業務がその性格と内容、範囲、権限、責任などで社会通念上の差があってはならないということを意味する。
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