韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)次期大統領は25日、中国の習近平国家主席と電話で会談し、北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射について「朝鮮半島および域内の緊張が急速に高まり、国民の懸念が大きい」と述べ、北朝鮮の完全な非核化を実現して、朝鮮半島情勢の安定的な管理のために協力するよう求めた。
キム・ウネ(金恩慧)次期大統領報道官によると、両者は、高官級の戦略的なコミュニケーションを活性化させて韓中関係の懸案を管理▽地域・グローバル問題で積極的に協力▽国交正常化30周年を迎え、新たな韓中関係の発展を成し遂げる――ことで一致した。
習主席は「中韓は引っ越しのできない隣人。両国関係の安定的かつ長期的な発展を促進しなければならない」と強調した。これに対し、ユン氏は「相互尊重・協力の精神で韓中関係を進展させていくために、ともに努力するよう希望する」と述べた。
中国国営新華社通信によると、習主席は「双方の共同努力で中韓関係が全面的に、急速に発展し、両国は戦略的パートナーになった」との認識を示したうえ「両国関係の発展は両国と人民の根本利益に合致し、地域平和と発展を促進するという点が証明された」と述べた。さらに「中国は韓国と協力して国際・地域協力を強化し、世界の産業・供給網の安定と円滑さを保障するために積極的に努力する用意がある」とも表明した。
一方、ユン氏は「韓中友好交流は長い歴史を持ち、30年の国交正常化以来、両国はさまざまな分野で大きな成果を上げ、両国民に実質的な利益をもたらした」と述べたうえ「両国が協力を強化すれば、北東アジアの平和と安定に貢献できる」と強調した。
◇ユン外交に懸念か
両者の電話会談は同日午後5時30分から25分間進められた。今回の会談は、中国が就任前の大統領当選者と通話しないという慣例を破った点で注目される。対中外交の順位を下げたユン氏の外交方針が影響を与えたとの分析もある。
ユン氏は大統領候補時代、韓米同盟強化を主要外交・公約に掲げ、最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の追加配置や「クアッド(QUAD)」(日米豪印4カ国の協力枠組み)への段階的加入を約束した。
これはムン・ジェイン(文在寅)政権が中国側の反発を理由に、いわゆる「3不政策」(THAADを追加配置しない、米ミサイル防衛システムに参加しない、日米韓の軍事協力をしない)を掲げたのとは対照的だ。
2016年のパク・クネ(朴槿恵)政権時代にTHAAD配置決定後、中韓関係が悪化の一途をたどった例がある。習主席がユン氏に「両国関係の安定的かつ長期的な発展」を強調したのは、ユン氏の外交政策が同様の事態を引き寄せる恐れがあるという点を意識したものとみられる。
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