韓国の国防省は4日未明、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による非常戒厳令の解除宣言を受け、戒厳司令部を撤収し、ソウル市龍山区にある本部への非常召集命令を解除した。これにより、戒厳令発令で動員された部隊は、即時に所属部隊に復帰したと発表した。
国防省はユン大統領の戒厳解除宣言直前の午前4時ごろ、「国防省本部の非常召集を解除する」と発表し、合動参謀本部も午前4時30分に「4時22分をもって動員部隊が所属部隊に復帰した」と公式に明らかにした。また、合同参謀本部は「現在、北朝鮮の特異動向はなく、対北朝鮮警戒態勢にも問題はない」と強調した。
非常戒厳令は3日午後10時27分にユン大統領によって発令され、即時にパク・アンス陸軍参謀総長を司令官とする戒厳司令部が国防省内に設置された。これに続き、午後11時には全国に第1号布告令を発令し、「国会、地方議会、政党の活動、政治的結社、集会、デモなどすべての政治活動を禁止する」と宣言。また「自由民主主義体制を否定または転覆を企てる行為や、フェイクニュース、世論操作、虚偽の扇動行為も禁止する」とした。
さらに「すべてのメディアや出版物は戒厳司令部の統制下に置かれる」とし、「社会混乱を引き起こすストライキ、怠業、集会行為を禁止する」との方針を示した。また、「全公医(インターンやレジデントを含む)や、ストライキ中に医療現場を離脱した医療従事者は、48時間以内に職務に復帰し、従わない場合は戒厳法に基づいて処罰する」と通告した。
戒厳司令部はまた「反国家勢力や体制転覆を企てる勢力を除き、一般市民が日常生活で不便を感じることのないよう措置する」と説明したうえで「布告令違反者については、戒厳法第9条に基づき令状なしで逮捕・拘禁・捜索し、戒厳法第14条に基づき処罰する」と付け加えた。
しかし、4日午前1時ごろ、国会は本会議を開き、ユン大統領が発令した非常戒厳令を解除する決議案を満場一致で可決した。ユン大統領はこの決議を受け入れ、発令から6時間後の午前4時過ぎに戒厳令を解除する事態となった。
韓国憲法第77条第5項では「国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳の解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない」と規定している。また、戒厳法によると、「戒厳状態が通常の状態に回復した場合、または国会が戒厳の解除を要求した場合、大統領は遅滞なく戒厳を解除し、その旨を公表しなければならない」としている。
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