2025 年 3月 12日 (水)
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米国や中国は「自動運転データ」蓄積中…法規に阻まれ「あゆみの遅い」韓国

ステランティスのレベル3自律走行技術(c)KOREA WAVE

「現在、韓国市場で一般的に使われている自動運転レベル3やレベル5などの技術は、法規が技術の進歩に追いついていない。OEM(自動車メーカー)はすでに準備が整っているのに、政府は先進国が先に法改正をした後、それを参考に変更しようとしている」

米国や中国が最近、高速道路での自動運転サービスを開始するなか、韓国の自動車メーカー関係者は韓国の自動運転サービスの現状について、こう吐露した。

起亜(KIA)は2023年の段階で、高速道路での完全自動運転サービス(HDP)を導入しようとしていた。それが延期され、2年が過ぎたあとも、導入の見通しが立たない。この関係者が語ったのは、まさにその背景だ。

米国ではゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティスの「ビッグ3」やテスラが、それぞれ高速道路での自動運転サービスを展開している。テスラは中国でも完全自動運転(FSD)を導入した。中国の電気自動車メーカーBYDはこれに対抗するため、高度運転支援システム(ADAS)「神の目」を発表し、吉利汽車(ジーリー)は「G-Pilot」をリリースした。

◇自動運転サービスを先行導入する理由

ステランティスのレベル3自動運転技術「STLA AutoDrive」など、各自動車メーカーが自動運転サービスを先行導入する理由は、商用データをより多く蓄積するためだ。自動運転技術には、高精度マップ(HDマップ)をGPSのように活用する方式と、車両に搭載されたカメラやLiDAR(ライダー)センサーを利用する方式がある。最も広く採用されているのは高精度マップを活用する技術だ。

代表例として、GMが米国で提供する「スーパークルーズ」は、HDマップ、LiDARマップ、ポイントクラウドを活用したLiDARマップを組み合わせた技術を採用している。この技術により、データが蓄積された道路ではスムーズに利用できる仕組みだ。GMのスーパークルーズは2018年以降、昨年末までに累計4億5700万km分の走行データを蓄積した。

起亜EV9 HDPシミュレーション(c)KOREA WAVE

◇韓国で技術導入が進まない理由

このように、ハンドルを持たずに走行する「高速道路自動運転」には大量のデータが必要となり、高精度のLiDARマップが不可欠だ。だが、韓国ではこうした技術の導入がほぼ進んでいない。自動運転データを最も多く蓄積しているテスラも、韓国ではFSDサービスを導入していない。

韓国内で最も多くの道路データを保有する現代自動車グループも、2023年以降のHDP導入について明言を避けている。

以前、起亜は2021年に次世代大型EV(電気自動車)にHDPを搭載すると発表していた。

その後、2023年6月に「EV9」を発表する際にHDPを搭載した「EV9 GTモデル」を公開したものの、同年10月の「KIA EVデー」でHDPの導入を延期すると発表した。

当時、起亜のソン・ホソン社長は「100%確信が持てるまで、実際の道路でのテストを継続する」と述べた。

この導入延期の背景には、責任の所在が不明確であることが関係していると考えられる。自動車業界関係者は「韓国国内で自動運転機能を導入するには、まだ法的な障壁がある」と指摘する。

◇制限された実証実験では不十分

特に、自動運転サービスを実用化するためには可能な限り多くのデータを蓄積する必要がある。だが、現在の制限された実証実験では十分なデータを確保することが難しい。

現在、現代自動車はソウル・江南エリアで自動運転の試験走行を進めているものの、運用は夜間のみにとどまっている。

ある自動車業界関係者は「自動運転サービス向けのLiDARマップを準備する段階にとどまっており、本格的なサービス開始によって蓄積されるデータには到底及ばない」と述べた。

(c)KOREA WAVE

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