
米ジョージア州の韓国・現代自動車―LGエナジーソリューションのバッテリー工場で韓国人労働者300人以上が拘束された事件の影響が、韓国国内のビザ発給現場に直撃している。ソウル市鍾路区の在韓米国大使館前では9月8日、多くの市民が不安を抱えながらビザ申請の列に並んだ。
現代自動車グループとLGエナジーソリューションの現場に派遣予定の会社員(39)は「私が赴任する現場で拘束事件が起きた。社内は皆、不安を感じている」と語った。駐在員ビザ(E2)を申請中のLG関係者も「以前はほとんど問題なく発給されたが、最近は落ちる例もあると米国法人から警告があった」と打ち明けた。
大使館前には午前の業務開始前から80人以上が並び、なかには「B1(短期商用)ビザで出張予定だが拘束されないか怖い」と話す人もいた。ある50代女性は「大企業だけでなく協力会社や下請け企業まで影響を受けている。会社が出張自体を止めれば申請に来る人も減るだろう」と懸念した。
本来、米国で就労するにはH-1B(専門職)やL1、E2(駐在員)ビザが必要だが、発給に時間がかかり不許可も多いため、実際にはESTAやB1で働く慣行が広がっていた。今回拘束された韓国人の多くもESTAやB1ビザ保持者とされる。
事件は韓米両政府の協議で収束に向かったが、韓国人労働者のビザ問題が顕在化したことで波紋は続いている。インターネット上でも「夫がB1で出張予定だが拘束されるのでは」と不安を訴える声が相次いでいる。
専門家は制度改善の必要性を指摘する。明知大のキム・テファン教授は「韓国人労働者の一定割合については、企業の要請があれば柔軟に就労ビザを発給できる仕組みを韓国政府が米国に働きかけるべきだ。韓米は相互主義を掲げている以上、韓国側の不便解消を米国に要求するのは当然だ。企業も従来の慣行を改め、韓国人・米国人双方の人材配置をどう最適化するか新たな戦略を立てる必要がある」と強調した。
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