2024 年 12月 5日 (木)
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米国が対中国HBM輸出を規制…韓国のサムスン電子、SKハイニックスに打撃か

SKハイニックスの半導体製造現場=SKハイニックス

米商務省産業安全保障局(BIS)は2日、高帯域幅メモリ(HBM)製品と先端半導体装置を輸出規制品目に追加すると官報を通じて発表した。この新たな規制は2025年1月1日から施行される。中国の人工知能(AI)開発に不可欠なHBMと最先端半導体装置の調達を遮断するのが狙い。

輸出規制の対象となるHBMは、韓国のサムスン電子とSKハイニックスの主要事業の一つで、今回の規制が両社の事業に与える影響が注目されている。特に、中国向けHBMの売上比率が高いサムスン電子への影響が懸念される。

◇来月から中国向けHBMの輸出禁止

今回の発表によると、現在製造されている全てのHBMが輸出規制の対象となる。これにより、HBMを含む製品を米国が指定する武器禁輸国(中国を含む24カ国)に輸出するには、商務省の許可が必要となる。ただし、ロジックチップなどとパッケージ化された後のHBMは、規制対象外とされる。また、HBM2については特定の条件を満たす場合、許可例外の申請が可能となる。

さらに、米商務省は今回の輸出規制に「外国直接産品ルール(FDPR)」を適用。この規則により、米国国外で製造された製品であっても、米国製のソフトウェアや装置、技術が使用されていれば、輸出規制の対象となる。この場合、規制対象国や懸念取引先に製品を輸出するためには、米商務省の許可が必要だ。

HBMは複数のDRAMを垂直に積み重ねた高性能メモリで、AIアクセラレータ(加速器)の稼働に欠かせない。近年、データセンターでのAIアクセラレータ需要が高まり、HBMの需要は爆発的に増加している。HBM市場では、SKハイニックスとサムスン電子が市場シェア1位と2位を占め、米国のマイクロンが3位となっている。

◇韓国企業への影響と業界の懸念

韓国産業通商資源省は3日の声明で「今回の措置とFDPRの適用により、HBMを生産する韓国企業にも一定の影響がある可能性があるが、今後、米国の規定が許容する輸出方式に転換することで、影響を最小限に抑えられる見込みだ」との見解を示した。

しかし、半導体業界からは異なる見方が出ている。SKハイニックスよりも中国向けHBM輸出の割合が高いサムスン電子は、即座に売上への影響が避けられないとみられる。一方、SKハイニックスは現在HBM全量を米国に供給しているため、短期的な影響はないとされているが、長期的には市場を失う懸念がある。サムスン電子の関係者は「今回の措置を慎重に注視している」と述べた。

また、中国のメモリメーカー「長鑫存儲科技(CXMT)」が最近HBM2を量産したが、韓国メーカーとの技術力の差は依然として大きい。中国の先端HBMへの依存度は依然として高い。

韓国半導体工学会会長でKAIST(韓国科学技術院)電子工学部のユ・フェジュン教授は「中国市場にHBMを供給できない場合、需要先を失うことになる。サムスン電子は、収益性の高い先端HBM3E以上の製品を米国の大手テック企業を中心に供給することに注力すべきだ」と述べた。

さらに、米商務省が「ロジックチップと一緒にパッケージ化されたHBMは規制されない」とした点については「形だけの規定だ」との批判が出ている。HBMを製造したメモリメーカーがファウンドリ(受託生産)企業である台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子に送付し、AIアクセラレータにパッケージ化する方式が主流であるため、この例外規定に大きな実効性はないとの見解だ。

◇最先端半導体装置も輸出規制対象に

米国はHBMに加えて、最先端の半導体製造装置についても規制を拡大した。現在規制中の露光装置、エッチング装置、洗浄装置など29品目に加え、新たに熱処理装置や計測装置など24品目を輸出規制対象に追加。さらに、関連ソフトウェア3種も規制対象とした。

ただし、日本やオランダなど、米国と同等の輸出規制をすでに実施している国や、半導体装置関連性が低い33カ国についてはFDPR適用除外国に指定された。韓国は現在、米国レベルの半導体装置輸出規制を施行していないため、除外国には含まれていない。

韓国政府は4日、半導体装置業界との懇談会を開き、今回の米国の措置の詳細を共有するとともに、韓国半導体産業協会(KSIA)や貿易安保管理院(KOSTI)と連携し、「輸出規制相談窓口」を設置する。

一方で、米商務省は、中国の軍事近代化に関与する企業140社を新たに発表し、これら企業に対する先端半導体および関連装置の輸出を禁止する方針を示した。このリストには韓国の「ACMリサーチコリア」と「エンピリアンコリア」の2社も含まれている。

(c)KOREA WAVE

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