
米政府が韓国に対し、自国企業の市場参入を妨げているとして、貿易上の障壁を一つひとつ挙げて強く懸念を示した。とくに、米国製自動車の韓国市場へのアクセスを妨げている排出ガス規制のほか、米国産牛肉・農産物の輸入制限、通信回線の使用料(ネットワーク使用料)など、さまざまな規制が問題視された。これは、米国が最大25%の報復関税を発表する2日前というタイミングで、韓国政府に圧力をかける意図があるとみられる。
米通商代表部(USTR)は3月31日(現地時間)に「2025年版・国家別貿易障壁報告書(NTE)」を発表し、韓国を含む各国の貿易障壁を7つの分野に分けて詳細に分析した。今回の報告書は、トランプ大統領の貿易政策方針に基づくもので、トランプ氏は就任直後から主要国の不公正な貿易慣行の徹底調査を命じていた。
報告書でUSTRは「米国の完成車メーカーが韓国市場に円滑に参入できるようにすることが重要課題だ」と強調している。韓国の「大気環境保全法」による排出関連部品(ERC)規制に対して、米国の自動車メーカーが繰り返し懸念を示していると指摘した。自動車メーカーや輸入業者は、部品のちょっとした変更にも再認証や報告が必要となるが、どの変更がどのカテゴリーに該当するのか明確なガイドラインがないと訴えている。また、韓国の税関当局が輸入車には刑事告発できる一方で、国内製造車については同様の調査権限がない点も問題にされた。
米国産牛肉に関しては「2008年に米韓で市場開放を合意したにもかかわらず、韓国は依然として『暫定措置』として30カ月未満の牛肉しか輸入していない」と指摘。また、ハンバーグ用のパティやジャーキー、ソーセージなどの加工品の輸入を禁止している点も、米国業界の懸念事項となっている。
農産物では、ブルーベリー、ジャガイモ、リンゴ、サクランボ、ナシ、ニンジンなどに関して、韓国農林畜産食品省による検疫段階での遅れが、米国企業の不満として挙げられた。
さらに、韓国が検討している「ネットワーク使用料」制度、知的財産保護の規制、外国法律事務所の韓国進出制限、外国人による放送・通信・メディア投資の制限も、貿易障壁として指摘された。
USTRは毎年3月31日までに、米国の輸出業者が直面する障壁と、それに対応する取り組みをまとめた報告書を大統領と議会に提出している。
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