米国と中国がAI分野で覇権競争を激化させるなか、韓国にとって厳しい選択を迫られる可能性が指摘されている。専門家は、AI分野での「標準化」作業を積極的に推進し、国家の主権と競争力を確保することが重要だと強調している。
ソウルで11月27日開催された「AI主権とグローバル調和」セミナーで、嘉泉大学のチェ・ギョンジン教授(韓国人工知能法学会会長)は「トランプ政権2期目では、半導体を巡る競争以上にAI覇権競争が激化する可能性がある」との見解を示した。
チェ教授は、米中の競争がAI分野に拡大する中で「米国は中国との格差をさらに拡大しようとするだろう」とみる。そのうえで「韓国に対しても米中どちら側につくのか決断を迫る場面が増えるだろう」と警告した。
特に、トランプ政権が「安全保障」をAI分野にまで広げれば、韓国のような同盟国にとって大きな圧力となる可能性があるという。
日本はトランプ政権下の不確実性を考慮し、AI規制に関して「非規制」の方向を模索する可能性がある。京都大学の和久井理子教授は「日本は今のところ非規制、共同規制、ソフトローの形を追求しているようだ」と述べ、慎重なアプローチを取る姿勢を示した。
また、AI規制法をいち早く制定した欧州連合(EU)も、規制の緩和や強化の可能性を議論している。EUのAI法案の主要設計者であるガブリエル・マキーニ博士は「AI法の柔軟性や曖昧さを活用し、米国の動きに合わせて規制を緩和することも可能だ」と述べた。一方で、「他国が規制緩和に向かう中、EUがデジタル警察の役割を果たす責任感から規制をさらに強化する可能性もある」と続けた。
米中のAI覇権争いが激化する中、韓国がAI主権を守るための重要な手段として「AI標準化」が注目されている。
AIセーフティ研究所のキム・ミョンジュ所長は「現在のAIの勢力図は米国と中国が先頭に固定されている」と指摘したうえ「両国は既得権をさらに強化しようとするだろう」と述べた。ただし「AIを規制しない場合に生じる問題も多いため、トランプ政権であっても簡単に進められるものではない」との見解を示した。
さらに「グローバルな標準化を通じて規制とチャンスを両立させる必要がある。韓国企業が技術的な競争力を備え、国際的な標準化議論に積極的に参加することが重要だ」と強調した。
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