
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が就任100日を迎え、米時事週刊誌タイムの特集インタビューに応じて国際舞台で存在感を示した。イ・ジェミョン大統領は2025年4月、大統領候補時代に「タイム100(世界で最も影響力のある100人)」に選ばれており、今回アジア版の表紙に登場した。
タイムは9月18日、「架け橋:イ・ジェミョン大統領が韓国をリブートする」と題した記事を掲載。インタビューでイ・ジェミョン大統領は、韓国が直面する現実を「非常に深刻な危機」と規定し、最低の出生率、最高の自殺率、高い青年失業率といった構造的課題を指摘した。そのうえで「経済を成長軌道に戻し、国民により多くの機会を提供する」と強調した。
イ・ジェミョン大統領の語りは個人史とも重なる。慶尚北道の農村で7人兄妹の5番目として生まれ、学業を断念して工場で働き、労災で手首に大けがを負った。生活苦の中で自殺を試みた経験もあるが、「死ぬことすら難しかった。ならば生きてより良く暮らす方がましだと思った」と振り返った。
逆境を乗り越え法学部に進学、司法試験合格を経て人権派弁護士、城南市長、京畿道知事を歴任し、大統領に就いた歩みは、最貧国から経済大国へと成長した韓国の軌跡と重なる。イ・ジェミョン大統領は「国益最優先」を掲げ、複雑な課題に挑む姿勢を示した。
タイム誌はこれまでも歴代韓国大統領を取材してきた。キム・デジュン(金大中)大統領は北朝鮮への人道支援を語り、イ・ミョンバク(李明博)大統領は非核化と米韓同盟強化を強調した。パク・クネ(朴槿恵)候補時代には「独裁者の娘」としての評価を、ムン・ジェイン(文在寅)大統領時代には平和構想と国内政治の負担が取り上げられた。いずれも時代の課題を反映した記録であった。
イ・ジェミョン大統領は今回、外交・安保課題についても率直に答えた。米国との3500億ドル規模の投資交渉では「条件が厳しすぎて同意すれば弾劾されかねない」と述べ、合理的な代案を求めたことを明らかにした。北朝鮮問題では「武器中止―削減―非核化」の三段階アプローチを提示し、制裁緩和の可能性にも言及した。
さらに、米中対立に関しては「米国と共にいながらも、中国を敵対視しないことが必要だ。そうしなければ韓国が二大陣営対立の最前線となる危険がある」と強調した。
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