2025 年 9月 20日 (土)
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米ジョージア州「韓国人316人拘束」の波紋…事件は米韓関税協議の「カード」?

9月12日午後、仁川国際空港に到着した韓国人労働者(c)news1

米ジョージア州で韓国人労働者が大勢拘束された事件を契機に、韓国と米国の間で停滞していた関税協議が新たな局面を迎えている。根本的なビザ制度の改善が伴わなければ、韓国企業による巨額の対米投資が萎縮しかねないとの危機感が高まっている。韓国政府は今回の事態を交渉のテコとして利用し、膠着状態にある協議を打開する構えだ。

ジョージア州の現代自動車グループと韓国の大手二次電池メーカーLGエネルギーソリューションの合弁バッテリー工場で、移民当局により拘束されていた韓国人従業員316人が9月12日に帰国した。拘束から8日ぶりの解放だった。

この事件は、米国が「製造業協力」の象徴として位置づけてきた現場で発生しただけに衝撃は大きい。韓国企業は8月、韓米首脳会談を通じて1500億ドル規模の直接投資を表明したばかりで、企業側は「第2のジョージア州事件」が再発するのではないかと強い警戒を抱いている。

イ・ジェミョン(李在明)大統領は、就任100日を迎えた9月11日の記者会見で「このままでは米国への直接投資を企業がためらわざるを得ない状況だ」と発言し、現地投資への影響を示唆した。

韓国政府は、投資心理の萎縮や事業遅延の懸念を前面に押し出し、関税協議の後続交渉を有利に進める戦略を描いている。両国は現在、総額3500億ドル規模の対米投資協力基金の運用方式や意思決定構造、利益配分などを巡って協議を続けているが、米国側は日本並みの条件を求めて圧力を強めており、交渉は難航している。

また、今回の事件を契機に、韓国人専門人材向けに年間1万5000件の別枠ビザ(E-4)を発給する内容を盛り込んだ「韓国パートナーシップ法」の成立を米国側に強く働きかける可能性もある。この法案は2012年から米議会で繰り返し推進されてきたが、成立には至っていない。

一方、国連総会も転機となりそうだ。イ・ジェミョン大統領とトランプ米大統領は、9月23日に米ニューヨークで開かれる第80回国連総会のハイレベル会合に出席する予定だ。これを機に2度目の韓米首脳会談が実現すれば、関税協議の細部についても議論が進む可能性が高い。

明知大学国際通商学科のキム・テファン教授は「交渉の場で今回の事件を強調する必要がある。韓国国民と企業の不安を伝え、投資交渉のカードとして活用すべきだ。民間企業が約束した1500億ドルの直接投資資金を戦略的に使うことも可能だ」と指摘している。

(c)news1

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