
米国が専門職就業ビザであるH-1Bの申請ごとに10万ドルの手数料を課すことを決定した。H-1Bに大きく依存してきた米IT大手にとっては大打撃となるが、韓国にとっては人材流出防止効果も期待される。一方で、韓米間で進行中のビザ制度改善協議には変数として作用しそうだ。
トランプ米大統領は9月19日、ホワイトハウスでH-1Bビザ申請時に10万ドルの手数料を課す布告に署名した。これは12カ月ごとに継続して納付しなければならず、支払いがなければ入国できない。現行の申請料(登録料215ドル、雇用主申請費用780ドル程度)と比べれば桁違いの引き上げだ。
米アマゾンは2025年だけで1万件以上、マイクロソフトやメタも5000件以上のH-1Bを取得しており、今回の措置は米企業にとって深刻な打撃となる。一方、韓国企業は米現地法人で主に駐在員ビザ(L1・E2)を利用しているため直接的影響は限定的とみられる。
むしろ海外流出していた高度人材の囲い込みにつながる可能性がある。韓国商工会議所の報告書によれば、2024年時点で韓国はAI人材の純流出が人口1万人あたり-0.36人と、OECD加盟38か国中35位の最下位水準だった。イ・ジェミョン(李在明)政権もAI人材育成と流出防止を国家戦略として掲げている。
ただし、韓米間のビザ交渉には大きな影響を与えそうだ。両国は米ジョージア州での韓国人集団拘束事件を受け、ビザ制度改善に向けた協議を開始しており、短期商用ビザ(B-1)の拡大や、韓国専門人材向けの別枠ビザ(E-4)新設を米国と協議しているところだった。さらに韓国人向けのH-1Bクオータ新設も議題に上っていたが、今回の巨額手数料導入で調整は難航が予想される。
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