現場ルポ
韓国・釜山(プサン)の国際展示場BEXCOで15~24日に開催された2022年の国際モーターショー。さまざまな展示館の中で、とりわけ人が集う場所があった。次世代の交通手段として脚光を浴びている都心航空交通(UAM=Urban Air Mobility)の体験館。観覧者の視線の先には、6つのプロペラが付いた飛行体があった。
韓国の通信会社SKテレコムは国内UAM事業者の中で唯一、今回のモーターショーに参加した。UAM事業は商用化まで、まだ長い道のりだ。だが、SKテレコムは、通信はもちろん、プラットフォームまで含めたサービスを提供し、“未来の空の道”の主役になるという抱負を明らかにした。
モーターショーの現地で15日開かれた記者懇談会で、SKテレコムのハ・ミンヨン最高開発責任者(CDO)は「機体運航、管制・管理、プラットフォームまでエンドツーエンド(end-to-end)で統合的なサービスを提供する」と強調した。
いわゆる「エアタクシー」として知られているUAMは、飛行体を基盤にした航空交通サービスをいう。
電気バッテリーで作動するため、化石燃料を使った従来の交通手段とは異なり、炭素排出量を減らし、都心過密化、交通混雑費用などを解消するものと期待されている。
◇UAMチームコリア
韓国政府は2019年、国土交通省内にUAMを専門に担当する組織を新設し、商用化への準備に本格的に乗り出した。同時にSKテレコムもUAM事業に参入した。2020年には国土交通省主導の産学関連協力体「UAMチームコリア」に合流した。SKテレコムも昨年11月、ユ・ヨンサン代表直属のUAM事業推進タクスフォース(TF)を立ち上げた。
ユ・ヨンサン代表は、SKテレコムのニュースルームコラムで「UAMは、莫大な交通関連の社会的費用を解決する『ゲームチェンジャー』だ」と記し、事業に対する強い意志を表わした。その後、同社は、米カリフォルニアのベンチャー支援航空宇宙会社「ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)」とパートナーシップを締結するなど、UAM事業に拍車をかけている。
今年5月には、ハンファシステムや韓国空港公社、韓国交通研究院、韓国気象産業技術院などとともにコンソーシアムを構成、国土交通省主管のUAM実証事業「グランドチャレンジ」1段階の事業参加を申請している。
国土交通省は2025年の商用化に先立ち、今年11月、実証事業参加事業者を選定する。
2023年8月に第1段階の実証を始め、全羅南道(チョルラナムド)高興(コフン)で、機体と通信体系の安全性、交通体系の統合運用などを点検する。2024年には第2段階に移り、都心地域での試験に移る計画だ。
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