2025 年 6月 19日 (木)
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石破首相補佐官が韓国に探りの一手…「歴史問題管理3原則」は参院選前の外交攻勢か

16日、ソウルで開かれた国交正常化60周年記念式で挨拶する長島昭久補佐官(c)NEWSIS/MONEYTODAY

石破茂首相の側近である長島昭久首相補佐官(国家安全保障担当)が、韓国に対し「歴史問題の管理に向けた3大原則」を提示したことについて、韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権が掲げる「実用外交」に対する探りであるとともに、自国の政治情勢を意識した動きとの分析が出ている。

来月に控える参議院選挙を前に、日韓関係の安定管理などで外交成果をアピールし、有権者の支持を得ようとする意図があるとみられる。もし与党の自民・公明連立が過半数を割れば、首相の党内基盤が弱まり「ポスト石破首相」論が現実味を帯びてくるからだ。

キム・ウォンジン(金元辰)韓国外交協会理事(元・国立外交院日本顧問)は17日、「日本高官による3大原則の提案は、いわゆる“外交的探査行為”の一環だ。イ・ジェミョン政権が掲げる『経済・文化交流と歴史問題・領土問題の分離戦略』が実際に機能するのかを見極めようとしている」と語った。

長島補佐官は16日、崔鍾賢学術院が主催した講演で▽短期的な損得にとらわれず、両国の長期的な戦略的利益を忘れない▽政府談話を含む過去の合意を最大限尊重し、決して後退しない▽勇気をもって両国民を説得していく――という「歴史問題管理の3大原則」を提示した。

特に注目されるのは、2つ目の「過去の合意を最大限尊重し、後退しない」という表現だ。これは日本政府が過去の植民地支配に対する謝罪の立場を維持する意志を示す一方で、韓国がユン・ソンニョル(尹錫悦)政権時代の2023年3月に提示した「第三者弁済案」などの合意を今後も継続していくべきだとのメッセージと受け取れる。

日本政府はこれまで、1998年の小渕恵三首相(当時)や2010年の菅直人首相(同)が植民地支配に対する謝罪を表明してきたが、安倍晋三氏以降は、過去の内閣の立場を維持する形で直接の謝罪表現は避けてきた。

ユン・ドンミン(尹徳敏)前駐日大使は「歴史問題が日韓関係を過度に支配するのは望ましくない」としながらも「韓国がこれまで関係改善に努めてきた以上、日本側もある程度の歩み寄りが必要だ」と指摘した。

ただユン・ドンミン氏は、現在のように国際環境が激変している中、歴史問題が未来志向の協力を妨げるべきではないとも強調した。ユン・ドンミン氏は「トランプ政権再登場による自由貿易秩序の変化や、ロシア・北朝鮮の接近、中国の台頭など、日韓両国が経済および安全保障面で協力を深化させる必要がある」と語った。

なお、長島補佐官の提案は、7月20日の参院選を意識した政治的メッセージでもあると見られている。仮に与党が敗北すれば、首相の指導力が揺らぎ、党内での後継者論が加速する恐れがある。

ある外交安保専門家は「日本の政治家も韓国への謝罪の有無で世論を気にせざるを得ない。現在の政治状況下で日本側が積極的に謝罪する可能性は極めて低い。日本の戦争世代は韓国に対する罪悪感を抱いていたが、今やその世代は去り、戦争を聞いて知る世代が中心だ。韓国が繰り返し謝罪を求める姿勢も、国の品格にふさわしくない」と指摘している。

(c)MONEYTODAY

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