
アメリカ出張中のある夜、締切間際の取材をしていた記者は空腹を感じ、カップ麺を食べようとした。しかし、ホテルには一般的なポットが見当たらず、代わりに見慣れないコーヒーメーカーらしき機器が置かれていた。深夜で人を呼ぶのもためらわれたその時、記者はサムスンの「ギャラクシー(Galaxy)」スマートフォンに搭載されたAI機能「サークル・トゥ・サーチ」を活用した。
機器の画像をなぞるとすぐにその製品名と使い方を含む動画が表示され、無事に夜食にありつくことができた。
この体験は、日常に深く入り込んだAIの存在感とその利便性を如実に感じさせた。
7月に開催された韓国サムスン電子の「Galaxy Unpacked」イベントでは、同社が2つのテーマを掲げた。
ひとつは折りたたみスマートフォン(フォルダブルフォン)によるハードウェア革新。
もうひとつはテキストだけでなく視覚・聴覚など複数のモダリティを統合処理する「マルチモーダルAI」の進化。
今回公開された「Galaxy Z Fold7」や「Galaxy Z Flip7」には、プラットフォームレベルで統合されたグーグルのAI「Gemini Live」が搭載されている。この機能は、ユーザーが着ている服を認識してスケジュールに適しているかを判断したり、食べ物をカメラで写すと相性の良いソースのレシピを提案したりするなど、従来より一歩進んだ体験をもたらす。
これまで「必要な時に呼び出す存在」であったAIが、「先に気づいて生活をサポートする存在」へと変わりつつあることを、ユーザーに実感させる例といえる。
サムスン電子のノ・テムンDX部門長代行(社長)はイベント終了後、「2025年中にギャラクシーAIを搭載する端末を4億台以上に拡大する」と述べた。ハードウェアの仕様が対応する限り、旧機種や廉価モデルにもAI機能を提供する方針だ。
これは、競合をAI分野で一歩リードしているサムスンが、自社の強みを最大限に活かす戦略だ。加えて、ユーザーにとっても、最上位機種でなくともAIの利便性を享受できる「ウィン・ウィン」な取り組みといえる。
AIによる「より良い日常」をすでに体験している記者としても、「AIの伝道師」として進むサムスンの今後に大いに期待を寄せたい。【news1 キム・ジョンヒョンICT科学部記者】
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