
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への不参加を決定したことで、韓国とアメリカの首脳会談は再び延期された。
両国は先週の主要7カ国(G7)首脳会議で初の首脳会談を模索していたが、中東情勢の悪化によりトランプ大統領が早期帰国し、実現しなかった。今回もイ・ジェミョン大統領がNATO首脳会議への出席を見送ったため、韓米首脳の初対面はさらに先送りされた。
大統領府は「国内の重要課題や中東情勢の不確実性を総合的に考慮し、NATO首脳会議には大統領が出席しないこととした」と説明した。ただ、これはトランプ大統領が会議への出席を見送ったことに呼応したのか、それともトランプ氏が出席するにもかかわらず韓国側の独自判断によるものなのかは明らかではない。
イ・ジェミョン大統領とトランプ大統領は、イ・ジェミョン大統領の就任後初の電話会談で「ゴルフ会談」を約束するなど良好な関係を示していた。早期の首脳会談を通じて韓米同盟の推進力を強化する狙いがあったが、会談の再三の延期により両国間の意思疎通に懸念の声も上がっている。
一部では、トランプ大統領が中東問題に集中している間は韓国に対する関税や安全保障分野の圧力が緩和されるとの見方もあった。しかし米国は最近、アジアの同盟国に対し、国防費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう要求するなど、圧力の強度を一層強めている。
こうした背景から、首脳間の直接対話を通じて関税や安全保障に関する具体的な要求内容や方向性を確認する必要があるとの指摘も出ていた。
仮にトランプ大統領がNATO会議に出席したとしても、韓米首脳会談が延期されたのであれば、アメリカが韓国との会談に十分な時間を割かなかったとの見方も成り立つ。韓国側としては、重要な意思疎通の機会を逸したことになりかねない。
一方で、中東情勢の激化によりアメリカが軍事的対応を取ったことから、米国が韓国に再度の理解を求めてきた可能性もある。イランに対する米軍の空爆後、イランが即座に報復を宣言するなど、米国の外交環境も非常に厳しい状況にあるのは事実だ。
また、米国が国際紛争に軍事的介入を決定した今回のNATO会議では、参加国に対して国防費増額を強く要求する見通しであり、イ・ジェミョン大統領が参加しても得られる実益は少なかったとの見方もある。
梨花女子大学北韓学科のパク・ウォンゴン教授は「NATO加盟32カ国に加えてインド太平洋地域(日本、オーストラリア、ニュージーランド)の首脳級も集まる今回の会議では、韓米間の緊密な協議は難しかっただろう。トランプ大統領がNATOに批判的であるため、会議自体の雰囲気も良くなかった可能性が高い」と分析した。
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