
韓国忠清北道清州市で、タクシー運転手を襲った強盗が、金品を奪ったうえで被害者をトランクに監禁しながらも、最終的に自ら「救出を頼む」と他の運転手に位置を知らせるという奇妙な行動を取っていたことが明らかになった。
この事件は、4月2日にJTBCの報道番組「事件班長」が報じたもの。
被害者の60代男性は3月30日午後9時ごろ、清州の繁華街で男性客を乗せたのが発端だった。
客は「郊外の村会館まで行ってほしい」と依頼。人通りのない目的地に到着すると、被害男性に「少し待って」と言いながらバッグをあさり、突然ナイフを取り出し「まだ死ぬには早いでしょう」と脅迫した。手をロープで縛り、自らハンドルを握ってさらに人気のない場所へと車を走らせた。
その後、客は被害男性にスマートフォンで銀行アプリを開かせ、口座残高を確認。残高が109万ウォン(約11万円)だったことに不満を漏らし、「他の口座は?」「クレジットカードはないのか?」と問い詰め、所持金とキャッシュカードを奪った。
さらに被害男性をトランクに監禁し、テープで足まで縛った状態で近くのATMに向かい、キャッシュカードから1日限度額の70万ウォンを引き出した。その後、30分ほど走行し、再びトランクを開けた客は「おとなしくしていれば危害は加えない」「朝になったら息子に連絡して来てもらえるようにする」と意味不明な言葉を口にした。
被害男性が「息子は深夜のメッセージに気づかない」と返すと、男は「では他のタクシーの知り合いに連絡してほしい」と客に伝えたという。
その後、午前1時30分ごろ、客は被害男性のスマートフォンと車載カメラの記録装置を持ち去り逃走した。しかし、驚くべきことに午前2時ごろ、実際に被害男性の知人に向けて「○○食堂隣の工事現場に、この携帯電話の持ち主がトランクにいます。助け出してください」とメッセージを送っていた。
被害男性はトランク内で自ら結束を解き脱出して、警察署へ直行した。警察は防犯カメラの映像などをもとに犯人を特定し、翌31日午後3時、自宅で客を逮捕した。
客は現在、強盗罪で取り調べを受けており、警察はさらに監禁罪や脅迫罪の適用を検討している。
ネット上では「運転手さんが無事で本当に良かった」「妙に中途半端な犯行で、確かに命までは奪う気はなかったようにも見えるが……。それでも犯罪は犯罪」といった反応が広がった。一方で、「軽く見てはいけない」「被害者を監禁して逃走した時点で重罪。厳しく処罰すべきだ」と厳罰を求める声も多く寄せられている。
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