
世界的に人気を集める中国発キャラクター「ラブブ(LABUBU)」の盗難事件や模倣品流通が相次ぎ、知的財産権(IP)をめぐる問題が深刻化している。韓国のファッション、食品、ビューティーなど幅広い生活消費財でもこの問題が波及し、Kブランドの世界的拡散とともに「無断盗用リスク」も拡大している。
2024年6月には北京の国際オークションで限定版ラブブ人形が15万ドル(約2199万7500円)で落札され、米国ではロサンゼルスの玩具店で7000ドル(約102万6550円)相当が盗まれ、別の倉庫でも3万ドル(約439万9500円)分が盗難に遭った。人気の高まりとともに大量の偽造品が出回り、中国の税関当局も摘発に動いている。
知財監視を担うAI企業マークビジョン(MarqVision)の調査によれば、2025年1~5月の韓国消費財の模倣被害は約5000億ウォン(約529億円)に達した。同社はシンガポールのEC大手ショッピー(Shopee)、中国アリババグループのアリババドットコムやラザダ(Lazada)、JDドットコムなど1500以上のオンラインプラットフォームを監視し、225万件を超える韓国ブランドの模倣品を確認した。
被害は年々拡大している。2024年には韓国のファッションやビューティーブランドに対する模倣被害は1兆5000億ウォン(約1587億円)に上り、2023年の1兆3000億ウォン(約1375億4000万円)からさらに増加した。中でも韓国のファッションレーベル「Martin Kim」は模倣品件数が123万件と全体の半数を超え、最大の被害を受けた。
韓国の食品大手・三養食品の人気商品「ブルダック炒め麺」もターゲットとなり、一部の偽造品はバーコードまで複製する精巧さを見せた。誠信女子大学のソ・ギョンドク教授は自身のSNSに偽物のブルダック炒め麺を掲載し、警鐘を鳴らした。
ソウル市が2025年7月に実施した調査でも、海外プラットフォームで販売されていた韓国ブランド20製品のうち15製品が模倣品と判明。正規品の最大97%引きという破格で販売されていた。さらに中国系EC「アリ・エクスプレス」では、EC企業クーパン(COUPANG)の「ロケット配送」ロゴや販売画像まで無断使用され、商標権・著作権侵害に発展した。
こうした問題は以前からアリ・エクスプレスやテム(Temu)など中国系ECサイトで繰り返し指摘されてきたが、改善の兆しは乏しい。
流通業界関係者は「模倣品の流通は単なる価格競争の問題ではなく、正規ブランドの価値と消費者信頼を根本から揺るがす」と強調。「国内外プラットフォームとの協力による監視強化と、体系的な法的対応の整備が不可欠だ」と警告している。
(c)MONEYTODAY