
韓国のグループ「BTS(防弾少年団)」の復帰公演を目前に控え、ソウル光化門広場一帯で大規模な通行規制や施設運営の制限が続き、市民の間で不満と期待が交錯している。
光化門広場ではステージ設営作業が本格化し、広場の四方や地下鉄光化門駅9番出口付近には胸の高さのフェンスが設置された。通行制限や迂回ルートを知らせる案内板も各所に設けられ、周辺の動線に大きな変化が生じている。
近隣で働く会社員の女性は「以前は世宗文化会館の地下駐車場から広場を横切って移動できたが、今は倍ほど歩く感覚だ」と語り、不便さを訴えた。現場では工事関係者に道を尋ねたり、臨時通路を使って移動する市民の姿も見られた。
周辺施設も対応に追われている。近くの教会関係者は「市の要請でトイレを午後9時30分まで開放する予定だが、その後の整理や清掃で翌日の礼拝準備に影響が出そうだ」と説明し、「善意で協力しているが、車両の出入りなどで負担が大きい」と明かした。
長年この地域で食料品店を営む女性は「土曜日の早朝に市場へ仕入れに行くが、26万人が集まればいつから通行が制限されるか分からない」と不安を示し、「なぜ光化門で開く必要があるのか。住民の意見も反映すべきだ」と指摘した。
オンライン上でも不満の声が広がっている。「1日我慢しろという通告に近い」「被害を与えてまで開催する理由が分からない」「専用の会場を使うべきだ」といった意見のほか、「すべての国民がファンではない」との批判も見られる。
また、国立古宮博物館や国立民俗博物館、大韓民国歴史博物館などが公演当日に休館または短縮営業を決めたことについて、「公演観覧とあわせて展示も楽しめたはずだ」と惜しむ声も出ている。
一部では補償を求める主張も浮上した。2024年にタイで歌手リサがミュージックビデオ撮影のため道路を封鎖し、商店に約1カ月分の給与相当の補償金を支給した事例が再び注目され、「今回も補償が必要ではないか」との意見が出ている。
ただ、法曹界は損害賠償請求のハードルは高いとみる。弁護士は「今回の公演はソウル市の適法な許可を受けたイベントであり、単なる営業への影響や通行の不便だけでは賠償請求は認められにくい」と説明した。そのうえで「建物への出入りが完全に遮断され、通常の営業や使用が不可能な場合には例外的に補償が認められる可能性がある」と付け加えた。
一方、ファンの間では期待が高まっている。海外ファンは光化門一帯の様子を撮影してSNSに投稿し、現地の雰囲気を共有している。YouTubeのライブ映像や警察の交通情報防犯カメラ、ソウル市のライブ配信サービスなどを通じて、ステージ設営の進行をリアルタイムで見守っている。
「ステージが組み上がっていく」「韓国に住みたい」「一晩で景色が変わる」といった反応が相次ぎ、現地を訪れられないファンも熱気を感じている様子だ。
地域住民の中にも理解を示す声がある。長年暮らす女性は「不便は避けられないが、国を広く知らせる機会として前向きに捉えたい。1日程度なら受け入れられる」と語った。別の会社員も「不便を感じる市民の気持ちは理解できるが、都市のPRや経済効果も期待できる」とし、「世界に韓国を発信する機会として見守る必要がある」と述べた。
安全面への配慮を求める声もあり、「事故なく無事に終わり、海外ファンにも良い思い出を持ち帰ってほしい」との期待が寄せられている。
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