2025 年 7月 10日 (木)
ホーム社会猛暑のソウル、酷暑の街さまよう高齢者たち…マクドナルドが“避難所”?

猛暑のソウル、酷暑の街さまよう高齢者たち…マクドナルドが“避難所”?

2025年7月8日、ソウル市鍾路区のタプコル公園周辺で暑さをしのぐ高齢者(c)news1

韓国で酷暑が連日続く中、冷房設備が乏しい住環境に住む高齢者たちが、暑さから逃れるために街中をさまよっている。ソウル市鍾路区のタプコル公園には、冷房がないか、むしろ屋内より外の方が涼しいと感じる高齢者たちが早朝から集まり、日中の猛暑をしのいでいる。

パク・ジョンヒョンさん(67)は、8日昼間の気温が36度に達したタプコル公園の前で「家にいるともっと暑くて息苦しい。扇風機はあるが役に立たない。ここなら人と話もできて、昼には無料の食事もある」と話した。

午前8時から高齢者たちが集まり始め、公園が開く前から入り口付近で座り込む姿が見られた。帽子で扇ぎ、赤く焼けた顔に汗を拭いながら時間を潰す。多くの高齢者は午前11時半に提供される無料食事を待ち、バドミントンや囲碁、談笑などをして過ごしていた。

ある男性(85)は「昼食まではずっとここに座っている」と語った。67歳の女性は「地下の部屋は蒸し風呂のよう。家よりここがまだまし。高齢者福祉センターやシェルターは誰でも行けるわけじゃない」とため息を漏らした。

カフェに入るのは「若者の行く場所で、料金も高くて気後れする」と話す高齢者も多い。82歳の女性は「私たちはカフェがどういうところかよく分からない。高いし、若者ばかりだから行きづらい」と述べた。

高齢者たちは孤独感やうつ症状も訴える。82歳の女性は「医者に『散歩にでも出た方がいい』と言われて外に出てきたが、地下部屋では“死にきれず生きているだけ”という気分になる」と打ち明けた。

午後にはマクドナルドなどファストフード店に避難する人も多く、コーヒー1杯で何時間も粘る高齢者の姿が目立つ。80代の男性は「外にいると倒れそうだが、ここならコーヒー2杯くらいで1日過ごせる。韓国で一番快適な場所だ」と笑った。

暑さをしのぐ公的施設「暑さ対策シェルター」については「住民以外は入りづらい」と利用を敬遠する声が多かった。85歳男性は「誰でも行けるわけではない」と話し、95歳男性も「目が悪く囲碁もできないし、知り合いもいない。行く気にはならない」と語った。

猛暑のなか、社会の支援から取り残され、屋外で過ごす高齢者たちの姿が、孤立と貧困の現実を浮き彫りにしている。

(c)news1

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