ロシアのウクライナ侵攻に端を発したグローバル原材料供給網の崩壊やインフレ、為替リスクで、韓国の産業界が冷え込んでいる。基礎体力の強い大企業はともかく、中小企業が持ちこたえられるか懸念が広がる。
先月の輸出入動向によると、韓国の貿易収支は3カ月連続赤字を記録した。上半期の累計貿易赤字額は103億ドル。貿易収支が3カ月連続赤字を記録したのは、世界金融危機に見舞われた2008年(6~9月)以来のことだ。原材料価格の暴騰と物価上昇の圧迫を考慮すれば、今年下半期の展望も暗い。
グローバル景気低迷やインフレとかみ合ったドル高基調がリスクだ。通常、ドル高は輸出企業に有利な条件と考えられるが、物価上昇と景気萎縮を伴う場合、全体の産業・消費市場が萎縮する結果につながりかねない。
直接の原因はロシアのウクライナ侵攻だ。グローバルサプライチェーンの崩壊で穀物を含む原材料・副材料価格が急騰すると、物価を抑えるために基軸通貨国である米国が金利引き上げに乗り出し、為替レートの変動性が大きくなった。新型コロナウイルス感染の長期化に伴い、各国が量的緩和を継続してきたという点もインフレを煽った。
緊縮転換は昨年から予告されてきたが、ロシアの侵攻という変数が重なり、グローバル経済に打撃を与えた。
中小企業の危機感はこの地点から始まる。輸入物価の上昇による費用負担は、輸出や納品を拡大して、ウォン換算利益を増やす方式で相殺しなければならない。ところが、消費低迷が伴い、損失だけが増えている。貿易赤字も原油・ガスなどエネルギー・原材料価格が大きく上がったのが原因だ。
電気料金引き上げに伴う物価上昇圧迫と景気萎縮リスクが依然として残っているという点も考慮すべき部分だ。こうした環境が続けば、産業競争力の悪化が下半期まで続きかねない。
中小企業中央会が中小企業3150社を対象に景気展望調査(BSI)を実施した結果、7月の展望値は81.5で、前月比4.6ポイント下落した。BSIが100より低ければ前月対比の景気展望を否定的に見ているという意味になる。
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