
人に向けて物を投げたら、それが当たらなくても刑法上の暴行に該当する――。韓国の最高裁がこんな判断を示し、暴行罪で起訴された男に無罪を言い渡した原審の判決を破棄して事件を大田(テジョン)地裁に差し戻した。
男は2023年7月、大田市内のカラオケ店で、被害者が自分のテーブルに居座ったことに腹を立て、メラミン製の器を被害者に向かって投げた。
検察は当初、被害者が「肩に当たって負傷した」と供述したことを根拠に傷害罪で起訴した。ところが現場にいた店主が「当たっていない」と証言したため、1審は無罪を言い渡した。
その後、検察は暴行罪に訴因を変更して控訴したが、2審も「当てる意図はなかった」として無罪を維持した。
しかし最高裁は「被告は自らの意思を貫徹する目的で被害者に近接した空間から強く物を投げた。物が身体に接触しなくても被害者に対する不法な有形力の行使にあたり暴行に該当する」と判断。「暴行の故意が認められる」と結論づけた。
この判決で、物が直接命中しなくても「人に向かって投げる行為」が暴行として処罰対象になることが明確になった。
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