
韓国百貨店業界が全国の“美食地図”を塗り替えている。国内外の有名グルメ店を誘致し、新規ブランドを積極的に発掘するなど、食料品売り場の強化に力を注いでいる。単なる物販の場ではなく、顧客の「経験」と「時間」を売る場所へと進化させ、美食コンテンツで売り上げ増と集客の両立を狙う戦略だ。
現代百貨店が運営する「ザ・現代ソウル」地下1階には、国内最大規模のグローバル食品館「テイスティ・ソウル」(1万4820㎡・約4483坪)が設置されている。このスペースでは、世界各国のグルメはもちろん、独占販売のスイーツなども楽しめる。
特筆すべきはその空間構成だ。一般的な商業施設のように店舗を密集させるのではなく、通路を広く取った“広場”のような設計が特徴。通行スペースが広いためポップアップストアの設置が容易で、人気店の誘致によって顧客の滞在時間が増え、「開店ダッシュ」の名所としても名を馳せている。
新世界百貨店も江南店のリニューアルを通じ、約6000坪(約1万9834㎡)規模の食品館を構築中だ。まずは今年2月にスイーツ専門館「スイートパーク」をオープンし、わずか1年で1200万人が訪問。これにより、江南店の食品売り上げに占めるデザートの割合は15%から30%へと急増した。
さらに昨年6月には、ハイエンドグルメ館「ハウス・オブ・新世界」を開業。通常の百貨店閉店時間である午後8時より2時間遅い午後10時まで営業し、百貨店フードホールとしては初の「酒類ペアリングサービス」も提供。今年3月には食品マーケットを再整備し、8月には惣菜売場もオープン予定だ。
一方、ロッテ百貨店は蚕室(チャムシル)を中心に食料品売場の強化に乗り出している。5月21日には蚕室本館11階に、済州島発のファインダイニング「寿司ホシカイ」との協業で「ブティック・ホシカイ」をオープン。6月9日には、蚕室ロッテワールドモール6階に「コンフィエル・セレクション」が登場し、長崎の高級とんかつブランド「文治郎」や釜山の人気店「ミポチッ」などが入店予定だ。
ファインダイニングだけでなく、地方の名店を積極的に誘致することで、ロッテタウン蚕室をソウルのグルメトレンドの発信地として育成する。すでにロッテ蚕室エビニュエルは一昨年から高級ダイニング拡大に注力し、昨年は飲食(F&B)部門の売り上げが2桁成長を記録している。
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