
かつて韓国旅行で「団体で爆買い」をしていた中国人観光客だが、最近は様相が一変している。FIT(海外個人旅行)を中心に訪韓する中国人観光客が増え、消費トレンドにも大きな変化が起きている。
中国のゴールデンウィークにあたる労働節(5月1~5日)期間中、韓国を訪れた中国人観光客によって主要商業地や流通チャネルに活気が戻った。
特にモバイル決済のアリペイ(ALIPAY)を通じた決済額が前年同期比195%増加し、韓国が再び中国人観光客の“ショッピング拠点”として注目されている。アリペイはウィーチャットペイ(WeChat Pay)、ユニオンペイ(UnionPay)と並ぶ「中国三大モバイル決済」として知られる。
注目すべきは、今回の訪韓で中国人観光客がコンビニエンスストアを積極的に利用している点だ。GS25では中国系モバイル決済3社による売り上げが前年より61.8%増加。外貨両替キオスクやVAT(付加価値税)即時還付サービス、モバイルパスポートによる簡易還付など外国人対応インフラを強化したことで、昨年のVAT還付利用率は前年比935%の増加を記録した。CUでも中国系決済サービスの利用件数が39.3%増加している。
百貨店では現代百貨店が恩恵を受けた。アリペイなどを通じた中国人客の決済額が87.9%増加し、売り上げ全体も20.5%増となった。
従来の「団体ツアー+高額商品大量購入」から脱却し、韓国人と同じような商品を好む傾向が強まっている。GS25のデータによれば、労働節期間中に外国人による売り上げ上位商品には、ギリシャヨーグルト、バナナウユ(バナナ牛乳)、アマンチュハイボールなど、SNSで話題の韓国定番商品が含まれていた。
K-ファッションへの関心も消費につながっている。ファッションプラットフォーム「MUSINSA(ムシンサ)」のオフラインストアでは、中国人客の売り上げが急増。特に弘大(ホンデ)店では175%増、明洞店では2.1倍以上の売り上げを記録した。ムシンサ側は「中国人観光客のKファッションへの関心が購買行動に直結している」と分析した。
中国では「限韓令(韓流制限令)」の緩和観測も広がっており、韓国の流通業界は秋の国慶節連休(10月)に向けたインバウンド需要の増加に期待を寄せている。これを見据えて、外国人対応スタッフの増員、モバイル決済サービスの拡充、観光客向けのプロモーション強化など、積極的な戦略を準備している。
ある業界関係者は「これまでのような団体観光客中心から、FITを対象とした多様な消費パターンへの対応がカギとなる。差別化されたサービスとインフラが売り上げ増につながる時代になっている」と語った。
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