自動運転技術が高度化し、ウインカーを点灯するだけで車線変更が可能になった。トンネルのように視界が暗くなるところでは、ドライバーよりも安全に速度を制御する。ドライバーが搭乗した状態で自動運転をするレベル3は、すでに商用化段階にある。
これまで自動運転のレベル4とレベル5は特定区域内の実証レベルだった。しかし最近、米国や中国など自動運転技術が発展した国が、都市を丸ごと使うことを許可し、無人自動運転タクシーを目の前でみかけるようになった。
米カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は最近、サンフランシスコで、アルファベットの子会社「ウェイモ」とゼネラル・モーターズ(GM)傘下「クルーズ」の自動運転開発2社に、無人車両を利用した商業用乗客サービスを提供できるよう運営権限を与える決議案を承認した。中国はすでに昨年、施行に乗り出している。
通常、米国自動車技術会(SAE)が基準とする自動運転段階で、レベル3は車両が自ら突発状況と周辺の状況を認識して対応する。だが、危険時にはドライバーが介入しなければならない。レベル4とレベル5からはドライバーの介入が必要ない。ただ、業界が見るレベル4は、特定区域設定内でのみ、自動運転が可能だが、レベル5はどの地域に入っても直ちに対応する段階を意味する。
無人タクシーは一種のテストベッドだ。客を乗せて都市全域を回りながらデータを積むのに適した形式だ。無人タクシーと通称するロボタクシー市場は2024年から10年間、年平均13%成長率を見せ、2044年には1兆ドル規模になるものとみられる。
業界では、こうした挑戦は、ソフトウェア中心の自動車(SDV)への転換の先決条件であり、必要なことだとみている。ただ、技術的な完成度はまだ不十分という。
SDV業界関係者は「自動運転は必須の技術であるため、大部分の企業が目標にしている。しかし道路では、エンジニアの想像から外れた状況があまりにも多い。緊急事態の際、病院ではなく他の目的地に行ったりとか、まだ疑問のある状況」と説明する。
◇予測不可能な状況に募る不安
自動運転はまだ研究中の技術で、まだ十分なデータが蓄積されていない。実際、サンフランシスコで24時間運営されていたGMの無人タクシー「クルーズ」が相次ぐ事故により、運行に支障を来たしている。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)は、運行車両の台数も半分に減らすと発表した。
クルーズはサンフランシスコで、24時間運行許可を受けて1日で、無人タクシー10台が海辺のある通りで止まり、15分以上の渋滞を起こした。当時、祭りが開催されたため、システムに混乱が生じたという。
無人タクシーに対する批判も少なくない。英紙フィナンシャル・タイムズは「無人タクシー業者がサンフランシスコで数年間テストしているが、依然として商用化の許可を受けるのは難しい。他の都市で快く受け入れられるか疑問だ」と報じた。
また、英市場調査「You Gov」が18カ国の消費者を対象に調査した結果でも、回答者の42%が依然として自動運転技術について「懸念している」と答えた。昨年運行を始めた中国「百度」の無人タクシーも中国での回答者37%が「心配だ」という反応を示した。
料金が相対的に高いという指摘もある。クルーズ無人タクシー料金は基本料金5ドルに1マイル当たり90セント、1分当たり40セントの走行料金が付く。一方、サンフランシスコUberは基本料金2ドルに1マイル当たり91セント、1分当たり39セントだ。
安全に対する不安と高い料金によって消費者がそっぽを向けば、結局、データ自体が蓄積されず、赤字だけが残る。自動運転分野は随時、資金の投入が必要だ。クルーズは有料自動運転タクシーサービスを実施した昨年第2四半期、1日500万ドルの赤字を記録した。
業界関係者は「完全無人というのが果たして正解なのか、答えられない」としている。
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