韓国最大の売春集結地というありがたくない地名も、その寿命を全うしつつあった。赤い光を放っていた街は闇に覆われていた。24日午前0時ごろ、京畿道坡州市にある性売買業者の集結地「ヨンジュゴル」は、閑静さを越えて陰気だった。
車の通行が容易な大きな路地でいくつかの店が営業するだけで、多くの店の窓ガラスには「賃貸募集」の張り紙が貼られていた。
路地に入ると窓ガラスが割れ、スレートパネル屋根が崩れ落ちていいて、まさに廃墟となった店が多かった。曇った窓ガラス越しに見えるテレビ、椅子、ストーブに積もったほこりは、現在のヨンジュゴルの姿そのものだった。
もちろん、一部の店は廃墟となった建物の間で依然として赤い灯をつけて通行人を誘惑している。何人かの男性はあちこちをうろつき、気に入った女性のいる店におもむろに消えた。
全国的に性売買集結地が衰退の道を歩む状況で、ヨンジュゴルもその余波を避けられず、客足がほとんど途絶えて久しい。
たまに2~3人ずつ歩き回る通行人が見えたが、ヨンジュゴル全体は冷たい風にさらされていた。数十台の車が停められる駐車スペースはがらんとしていた。
ある建物にかかった「性売買、斡旋は犯罪」という内容の大型横幕がここの現実を赤裸々に示した。
窓越しの女性たちは最近、警察と行政当局の相次ぐ取り締まりと制裁により、客引き行為を自制しているようだった。男性たちが店の前を通り過ぎても目線を送るだけで、「遊んで行け」という手振りや言葉はなかった。
ここを生計にしてきたタクシー運転手たちも困難に直面しているのは同じだった。
高陽(コヤン)、議政府(ウィジョンブ)、ソウルといった場所からヨンジュゴルまで客を運ぶのに忙しかった時代もあった。今ではタクシーは、乗り場に並んで赤い「空車」ランプをつけたまま、来ない客を待つばかりだった。
20年ベテランタクシー運転手は「10年前までは全国各地から来た人で混雑していた。ところが最近はここを訪れる人がいない。昨夜は取り締まりもあった。これ以上、人は来ないだろう」と話した。
坡州市は今年初め、売春集結地整備タスクフォースを構成し、坡州警察署と協力してヨンジュゴル閉鎖に積極的に乗り出している。その一環として最近、市職員と業者の300人余りがヨンジュゴルの違法建築物に対する強制撤去に取り組んだ。
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