
物価高と景気低迷の影響で韓国ファッション業界が全体的に苦戦を強いられる中、製造から販売まで一貫して担うSPA(製造直販)ファッションブランドは堅調な成長を見せている。コストパフォーマンスを重視する消費者が、基本アイテムを中心としたSPAブランドに注目している。
業界によると、「ユニクロ」を展開するFRLコリアは、2025年度決算で売り上げ1兆3500億ウォン(約1440億円)、営業利益2700億ウォン(約288億円)を記録。これは前年比で大幅な増加であり、韓国市場進出以来、最高水準の業績に迫る成果と評価されている。
このような流れは、SPA市場全体の回復傾向を示すと同時に、これまでの一部グローバルブランドによる独走構図から競争の本格化へと局面が移りつつあることを意味する。
中でも注目されるのが、後発の「MUSINSA STANDARD(ムシンサ スタンダード)」だ。2017年に立ち上げられたこのブランドは、2025年に取引額4700億ウォン(約501億円)達成が見込まれ、韓国SPA市場の主要プレーヤーに浮上。わずか数年で業界上位に食い込み、既存のSPAブランドを凌ぐ成長速度を見せている。
2025年1月から12月中旬までの累積取引額は4500億ウォン(約480億円)を突破し、前年比30%後半台の成長率を記録。2023年の取引額が2000億ウォン台半ばだったことを考えると、2年間でほぼ倍増した形だ。
この急成長の背景には、積極的なオフライン出店戦略がある。ムシンサスタンダードは2025年中に全国主要商圏に10以上の新店舗をオープン。地域ごとの大型店舗を拠点とし、集客力を高めたことが功を奏した。
また、オンラインプラットフォームを通じて蓄積した消費者データを活用した商品企画力も成長の原動力とされる。スラックス、デニム、アウターなどの定番アイテムを細分化し、体型別のサイズ展開や機能性を重視した設計で人気を集めている。中にはブランドを代表する商品に成長したアイテムもあるという。
既存の韓国SPAブランドも堅調だ。TOPTEN(トップテン)は、全国規模のオフライン店舗網を基盤に売り上げ9000億ウォン台を維持。SPAO(スパオ)を展開するイーランドワールドも売り上げ6000億ウォン台を記録し、市場での地位を固めている。
このような中でのムシンサスタンダードの急成長により、SPA市場の勢力図はより複雑で競争的な局面に突入している。
業界関係者は「グローバルブランドと既存国内ブランドが安定した需要を確保する中で、ムシンサスタンダードのようなプラットフォーム発のSPAブランドが急速に勢力を拡大し、市場の主導権争いが本格化している。不況下ではコストパフォーマンスを重視した消費が続くと予想されるため、SPA市場内の競争は今後さらに激しくなるだろう」と展望した。
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