流通大手オーナーの2022年の新年あいさつは「挑戦」「人材確保」「デジタル転換」に集約される。新型コロナウイルス感染拡大で急変する環境に備えて力を蓄え、突破口を見いだすという意思の表れと解釈できる。
特に強い実行力を強調したのがシン・ドンビン(辛東彬)ロッテグループ会長とチョン・ヨンジン(鄭溶鎭)新世界グループ副会長。2人はともに、アイスホッケー選手ウェイン・グレツキーの「試しもしなかったショットは100%外れる」という名言を引用して注目を集めた。革新に向け、失敗を恐れず挑戦するという精神を、直ちに実行するよう強調した。
◇「失敗から教訓を得て挑戦」
ロッテグループのシン会長は3日、社内ホームページを通じた新年あいさつで「これまで私たちが成し遂げた成果は、数多くの挑戦と失敗があったからこそ可能だった」「失敗から教訓を得て挑戦し続けるなら、新しい機会をつかむ可能性は高まるだろう」と述べたという。
また、グループをリードしていく人材の重要性についても強調した。
「最適な人材が力を発揮できるよう、徹底した成果主義の文化が定着しなければならない」
「多様性は私たちの競争力であり、挑戦するエネルギーの源泉になるだろう」
「ブランド、デザイン、情報技術(IT)などに投資せず、短期的な成果だけを出すことは無意味だ」
◇「挑戦できる文化づくり」
最高の人材が働きたがる「グローバル一流企業」への変化と革新――CJグループのソン・ギョンシク(孫京植)会長が求めたのは、このキーワードだ。
「年功序列を打破したさまざまな機会と、公正な競争を保障する」
「卓越した成果に破格の報償を与えるのが、組職文化の革新」
「CJは世界の人々の新しい暮らしをデザインする、未来企業に飛躍しなければならない」
CJグループは最近、役員を統合する人事制度を設けた。「力と意思さえあれば、年齢や職級に関係なく、誰でもリーダーになれる。思う存分、挑戦できる文化づくりに乗り出す」。ソン会長はこう強調した。
◇急変する時代 「デジタル転換」に対応
新世界グループのチョン副会長は「第2のウォルマート」「第2のアマゾン」ではなく「第1の新世界」を目標に掲げた。これまでの「成功方程式」の踏襲から脱し、歩んだことのない道に挑戦しよう、という意味のようだ。「過去の感覚や思いだけで事業をする時代は過ぎ去った」。こう呼びかけた。
チョン副会長も、早いテンポで変化する時代に対処するための人材養成を掲げた。「内部に優れた人材を育成すると同時に、われわれにない長所を持った外部の人材と彼らの文化も積極的に取り入れ、多様性を受け入れなければならない」と強調した。
目標を達成するための、デジタル大転換時代に合った変化――を掲げる。ライバル会社の「成功方程式」ではなく、「進まなかった道」への挑戦を続けるという意志だ。
「2022年は新世界グループがデジタルに方向転換する元年。もはやオフラインも可能なオンライン会社になるための実践だけが残っている」と指摘した。つまり、オフラインの能力と資産を一つの軸とし、もう一つの軸であるデジタルに基づく未来事業を準備し、作りあげていくということだ。
何よりも、チョン副会長は「顧客の時間と空間」を占有することの重要性を強調した。これまで新世界グループが進めてきたすべての事業の目的は、顧客の時間と空間を共有することだ。「オフラインでだけ可能だったことがデジタルに転移している。オン・オフを問わず、顧客が私たちの空間でより多くの時間を過ごすようにならなければならない」
そのうえで、顧客のオン・オフすべての日常が「新世界」で解決可能な「新世界ユニバース」を構築しよう――と呼びかけた。
◇「発見」と「連結」
現代百貨店グループのチョン・ジソン(鄭志宣)会長も、新型コロナウイルス感染拡大による不確実な変化に合わせた成長のチャンスをとらえるよう強調した。
以前と異なり、最近の流通業界はMZ世代が消費の流れを主導している。新型コロナにも巻き込まれ、日常の不確実性が大きくなった。「新たな消費主体の、変化した要求を見つけ、解決するために悩めば、アイデアが生まれる。これを実践するプロセスで顧客が共感できる価値を創出できるだろう」。チョン会長はこう強調する。
チョン会長は、その中心に「発見」と「連結」をすえた。「顧客の変化したニーズに合う新しい価値を作り出し、探し出す『発見』と『連結』の努力が必要だ。『ビジョン2030』に込められた私たちの成長ストーリーを書こう」
チョン会長はこう呼びかけた。
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