
韓国南東部の古都・慶州(キョンジュ)で10月31日~11月1日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。韓国がAPECの議長国を務めるのは、2005年の釜山開催以来20年ぶり。最大の注目点は、APECを契機としたトランプ米大統領と習近平・中国国家主席の対面だ。米中関係が緊張状態が続くなか、両首脳によって経済・技術分野での協力の再構築がどうはかられるのか、国際社会が注視している。また、10月中旬に首相に就任する高市早苗・自民党総裁もAPECに出席するとみられ、訪韓中にイ・ジェミョン(李在明)大統領や習主席との首脳会談が実現するかも焦点だ。
◇グローバル経済の安定を左右
APECは世界の国内総生産(GDP)の約6割、貿易量の約5割を占める重要な経済協力枠組みで、グローバル経済の安定を左右する。今回の首脳会議では「持続可能な未来の構築:連結・革新・繁栄」をテーマに21カ国・地域の首脳が一堂に会し、パンデミック後のサプライチェーン、脱炭素政策、デジタル経済のルール形成などを主要議題に意見を交わす。
韓国としては、イ・ジェミョン政権発足後、初めての多国間の首脳会議ということもあり、アジア太平洋地域における経済協力やAPEC共同ビジョンに対して、今後も重要な役割を果たすという意志を示したい。国際社会に不確実性が漂うなか、APECの枠組みでのコミュニケーションを重ね、国際社会に前向きのメッセージを発信するとともに、先進国と新興国の橋渡し役としての存在感をアピールしたいところだ。
今回のAPECは、米中が妥協点を見いだすための重要な舞台になるため、韓国にとっても米中間でのバランスをどう取るのか、一つの試金石になりそうだ。

◇多国間外交の舞台は「歴史都市」
首脳外交の舞台となる慶州は、紀元前57年から西暦935年までの約1000年間、古代国家「新羅」の都だった。仏国寺や石窟庵など多数の世界文化遺産が密集しており、韓国の長い歴史・文化のアイデンティティーを堪能できることから「屋根のない博物館」と称される。モダンなカフェやレストランなどもあり、美・味・音を通して、伝統と革新の融合を体感できる場所でもある。
慶州では秋夕(チュソク)連休を手始めに文化イベントが相次いでいる。校村文化公演「新羅五伎」、世界遺産祝典、国楽旅行、新羅文化祭、APECミュージックフェスタなど、街全体が「外交都市」への高揚感に包まれている。
イ・ジェミョン大統領は「美しい国土をお客様に見せよう」と呼びかけ、全国規模の美化運動を展開している。海岸から街中まで清掃活動が進められ、「国を挙げての歓迎ムード」を醸成している。
今回のAPECでは、安全保障対策も過去最大級となる。現地メディアによると、韓国警察庁はドローンによる爆弾攻撃や化学剤散布を想定したテロ訓練を実施し、全国から1日2万人規模の警備人員を配置している。慶州市は首脳や関係者2万人超の受け入れを見込み、1日最大7700室の宿泊施設を確保している。防弾ガラスや盗聴防止装置を備えた「大統領スイート」も複数設置され、国際基準の安全体制を整えている。
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