2025 年 6月 27日 (金)
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模倣か創造か…AIと著作権のグレーゾーン [韓国記者コラム]

ビングレがAIで制作した「初めて着る光復」キャンペーンビジュアル(c)news1

ロゴ、イラスト、広告文、音楽など、人工知能(AI)によって生成されたコンテンツが急速に日常へ浸透している。AIによる創作物は驚きと楽しさを提供する一方、その出所や法的責任の所在が不明瞭なため、著作権をめぐる懸念も高まっている。

AIが画像やテキストを生成するには、膨大な量の既存データをもとに訓練をする必要がある。この過程は、創造というより統計的な模倣に近い。すなわち、「この組み合わせがもっともらしい」というパターンの蓄積から生まれるものだ。

現在、多くの国ではAIが作成したコンテンツに著作権保護を認めていない。韓国の著作権法でも、「著作物」とは「人間の思想または感情を表現した創作物」と定義されており、AIによる作品は法的な著作物とみなされない。このため、たとえAIが他者の著作物を模倣していても、直接的な法的責任を問うことは難しい。

仮にAI生成物によって著作権侵害が生じた場合でも、その責任はAIを使用して利益を得た人やAIに指示を与えた人が負う。ただし、侵害の事実を知らなかった場合は責任の所在が曖昧になる。

一方で、すべての模倣行為を規制すると文化の発展を妨げるとの声もある。実際、人間の創作も過去の作品の模倣や参照を通じて発展してきたという歴史がある。

このような曖昧な状況下で、AIに関する著作権訴訟が各国で相次いでいる。今年に入ってからだけでも、米メタはフランスの出版社・作家から、オープンAIはドイツの音楽著作権団体から、それぞれ著作権侵害で訴えられている。また、韓国では地上波放送局3社がネイバーを相手に損害賠償請求訴訟を提起している。

AIの学習データをめぐる議論は初めてのことではない。2004年、グーグルが「すべての書籍をデジタル化する」として数百万冊の本をスキャンし検索サービスを提供した際にも、著作権者たちは「無断複製による侵害だ」と強く反発した。

しかし裁判所は、グーグルが全文を公開せず、検索可能な一部情報の提供に留めたこと、公的な情報アクセスツールとしての公益性を重視し、これを「フェアユース(公正利用)」と判断。2015年の控訴審でもグーグルが勝訴し、2016年には米連邦最高裁が訴訟の終結を宣言した。

この判決を契機に、デジタル技術と著作権の衝突が生じた際、裁判所は「使用目的と文脈」に重点を置くようになった。生成AIが既存作品を学習し新たなコンテンツを生み出す行為も、この「フェアユース」基準に照らして検討される必要があるとされている。【news1 ソン・オムジ記者】

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