2025 年 6月 20日 (金)
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極右団体が学童保育に介入?…韓国「講師の資格あいまい」教育現場に広がる波紋

リ・パク・スクール関連事務所(c)news1

極右性向を持つとされる韓国の教育団体「リ・パク・スクール(Rhee Park school)」が小学校の「学童保育(ヌルボム学校)」プログラムに介入したとの疑惑が浮上している。教育界では、講師の資格や検証制度の強化を求める声が高まる一方、「講師検証の強化が思想検証に転化してはならない」とする懸念の声も根強く、教育当局には慎重かつ総合的な対策が求められている。

教育省や全国17の市道教育庁が共同で発行した「2025年度学童保育ガイドブック」には、講師の資格要件として▽関連分野の大学卒業(予定)者▽関連分野の専攻者、または技術・技能保有者▽地域住民の中で専門能力のある人材▽ヌルボムプログラムを運営する資質・能力があると認められる者▽当該学校または他校に勤務中の教職員――と定められている。

これは既存の「放課後学校」講師の要件と同一であり、「その他の資質を有すると認められる者」という項目のあいまいさが問題視されている。

現行制度では、講師の犯罪履歴(性犯罪・児童虐待)を調査する以外、具体的な検証基準が存在せず、講師の適格性の判断が学校に一任されている。そのため「リ・パク・スクール」が「韓国ヌルボム教育連合会」を名乗って民間講師証を発行し、公教育現場に入り込んだ今回のような事例が再発する恐れがある。

教育省もこの点を認め、6月11日の国会教育委員会では「法的な未整備により、講師の検証は事実上、犯罪履歴調査に限られている」と説明した。

これに対し、教育界や地方教育庁からは検証の強化を求める声が相次いでいる。ソウル市教育庁のチョン・グンシク教育監は「講師の資格や経歴をより厳密に管理する必要がある」と述べ、蔚山市教育庁のチョン・チャンス教育監も「外部講師の資質を検証する制度づくり」を指示した。

一方で、「検証の矛先が人物の思想や背景に向かえば、それは“思想検証”になってしまう」との懸念もある。ある地方教育庁の関係者は「政治的な偏向性をチェックするのは一見妥当に思えるが、これを口実に思想検証が進められてはならない」と語った。

また、検証を強化しすぎることで講師の確保が難しくなるという実務上の問題もある。昨年、一部の学校では新学期直前まで講師が確保できず、再募集をする事態も起きた。特に交通の便が悪い山間部や離島の学校では、講師不足の懸念がより深刻だ。

韓国教員団体総連合会の関係者は「資格基準を厳格にしすぎると、農村・漁村・離島などの地域では講師を確保できない恐れがある。思想的背景ではなく、プログラムの内容や講義方式に対する監督を強化する必要がある」と提言した。

(c)news1

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