韓国科学技術情報通信省は22日、核融合実験炉(ITER)の核心装置である「真空容器」セクターを製作・納品し、フランスで調達完了を記念する式典を開催したと発表した。「ITER」は人類初の核融合実験炉を実現させる超大型国際プロジェクトだ。ITER計画は、日本や欧州連合(EU)、米国、ロシア、韓国、中国、インドによって進められている。
韓国が受け持ったセクターを製作したのは現代重工業だ。セクターはボーイング747ジャンボ旅客機の最大離陸重量に匹敵する400トンにもなる。
2基のセクターを製作するのに8年が費やされ、最後の1基の製作費用は700億ウォン(約77億円)に上った。
記念式典はITER機構が主催し、21日に仏南部サン・ポール・レ・デュランスの実験炉建設現場で開催された。ITERのピエトロ・バラバスキ事務総長をはじめ、各国から関係者約200人が出席した。
韓国からは科学技術省のファン・パンシク研究開発政策室長、核融合エネルギー研究院のチョン・ギジョンITER事業団長、現代重工業のパク・ギョンホ常務らが出席した。
◇真空容器の特性と製作の難易度
ITERの真空容器は、超高温プラズマを発生・維持するための高真空環境を提供する核融合炉の重要装置で、全9セクターで構成される。
韓国は2016年に追加受注した2基を含め、計4基のセクターを製作した。それぞれのセクターは高さ13.8メートル、重量約400トンで、9基をすべて組み合わせると全体の重量は5000トンに達する巨大構造物となる。
真空容器の各セクターは四つの部品に分けて製作され、それを結合する際に総延長1.6キロ以上の溶接が必要となる。また、内壁の部品を誤差なく組み立てるため、数ミリ以下の厳格な公差を維持する高度な成形・溶接技術が要求される。
核融合エネルギー研究院は「真空容器はITERの部品の中でも製作難易度が最も高い重要部品だ」としている。
◇韓国の役割と成果
当初、韓国はITERの実施協定に基づき、2基の真空容器セクター製作を割り当てられていた。しかし、残りの7基を担当したEUの作業が遅延したため、2016年に2基の追加製作を引き受けた。この際、現代重工業を含む韓国企業は計1200億ウォン相当の海外受注契約を締結した。
科学技術省のイ・チャンユン次官は「核融合炉の核心技術と製造能力を基盤に、今後の核融合実証炉建設市場で主導権を確保していく。7月に策定した『核融合エネルギー実現加速化戦略』を着実に進める」と強調した。
ITERの真空容器セクターは、フランス現地で組み立てられ、核融合炉の運用に向けた重要な一歩となる。
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