2025 年 12月 13日 (土)
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東南アジア3カ国が北朝鮮に接近した理由…「米国の関税圧力に対するヘッジ戦略」

朝鮮労働党創建80周年を記念して開かれた宴会に出席したキム総書記(中央)。右側にベトナム共産党のトー・ラム書記長、左側には中国の李強首相=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮で10月10日に開催された朝鮮労働党創建80周年記念行事に、ベトナム、インドネシア、ラオスの東南アジア3カ国が高位級代表団を派遣した背景には、米中間でバランスを取ろうとする「ヘッジ戦略」があるとの分析が専門家によって示された。

アジア地域外交に詳しい峨山政策研究院のイ・ジェヒョン首席研究委員は、慶南大学極東問題研究所が公開した報告書「東南アジア諸国による北朝鮮・労働党創建参加の意味」において、「これらの国々は米国の関税圧力などを回避するために戦略的多角化を模索しており、北朝鮮との交流強化もその一環」と主張した。

特に今回の行事では、ベトナムの最高指導者トー・ラム共産党書記長が平壌を訪問。ラオスのトンルン国家主席も党創建日前に北朝鮮を訪れ、キム・ジョンウン(金正恩)総書記と会談した。インドネシアも12年ぶりに外相を派遣するなど、例年に比べて格上の外交関与が見られた。

イ・ジェヒョン氏は、ベトナムの書記長による今回の訪朝は、2019年にキム総書記がハノイでの米朝首脳会談に出席したことへの「返礼」の意味があり、今後新たな米朝会談が開かれる際には、再びベトナムが開催地となる可能性を見据えた布石でもあると指摘した。

また、インドネシアについては国家元首ではなく外相の出席にとどまったが、同国が東南アジア諸国の中で最も朝鮮半島問題への関心が高く、南北間の中立的な「橋渡し役」を果たす意志を示したものと分析された。

さらに、米中覇権争いが全方位的に激化する中で、東南アジア各国がどちらか一方に偏らず、両大国と均衡を取りながら外交的立場を構築しようとしていることが、北朝鮮との接触にもつながっているという見方が示された。

イ・ジェヒョン氏は「米国の通商政策は東南アジアを軽視し、関税による経済的圧力を強めている。これに対し、東南アジア諸国は個別にも、またASEANレベルでも『中国側または米国の対抗勢力側』への戦略的連携を強める可能性がある」と警告した。

そのうえで「東南アジア諸国は昨年から多角的外交を強化しており、BRICSとの協力や上海協力機構(SCO)への加盟を試みるなどの動きがあった。今年は中国の戦勝節記念式典への参加に続き、北朝鮮の党創建記念行事に一部が出席するまでに至った」と説明した。

ただ、イ・ジェヒョン氏は「これらの動きが、米国に対する対抗で中国や修正主義勢力へと完全に路線を転換したことを意味するわけではない」としたうえ「今後も東南アジアの共産主義国の外交戦略は、米中の動向に応じて柔軟に変化するだろう」と指摘した。

(c)news1

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