
韓国で、経理として働く妻が会社の社長からガスライティング(社長が妻を心理的に操作し、その判断力・自己認識に影響を与えている状況)を受け、朝から深夜までガソリンスタンドやコンビニでも働かされている――こんな夫からの悲痛な相談が12日、韓国の報道番組「JTBC事件班長」で伝えられた。
相談を寄せたのは、自営業を営む40代男性。
男性によると、自身の事業が最近振るわず、家計が苦しくなったため、専業主婦だった妻が15年ぶりに共働きを決意し、ある会社に経理として就職した。
妻の勤務時間は本来、午前9時から午後5時までだったが、ある日を境に残業が常態化した。
ある週末、久しぶりに家族旅行を計画したものの、出発直前に妻の会社の社長から「今すぐ出勤してほしい」と連絡が入った。男性が止めたにもかかわらず、妻は「行かなければクビになるかもしれない」と旅行を諦めて出勤した。
その夜、妻は酔った状態で帰宅した。男性が「どこで飲んだのか」と尋ねると、妻はこう答えた。「社長が『この一杯を飲んだら帰してやる』と何度も勧めてきたので仕方なく飲んだ」
男性は不審に思い、妻の許可を得てスマートフォンを確認した。社長は妻に「よくやってくれた」「君のおかげで会社が回っている」などの個人的なメッセージを毎日送っていた。しかし、妻は「はい」「いいえ」と短く返事するのみだった。
不安を募らせた男性は、妻の会社に押し掛けた。妻に「一緒に食事しよう」と持ちかけると、妻は「残業がある」と応じなかった。
男性はそこを立ち去るふりをしながら妻の動線を追った。
すると、妻は会社を離れ、近くの焼肉店に入ってエプロンを付けて仕事を始めた。2時間ほど働いた後、次にガソリンスタンドに向かい、制服に着替えて給油作業を始めた。さらにコンビニに移動して夜勤アルバイトまでこなして帰宅した――。
男性は一部始終を目撃していた。そして、妻を問い詰めると、ようやく真実を打ち明けた――。
「経理として採用されたが、社長の指示で他の店舗でも働いている。経理業務以外に1日4つのアルバイトを掛け持ちしていたが、その対価は月にわずか300万ウォン(約34万円)程度。でも、社長がそう言うならやるしかない。社会とはこういうものだ。言われた通りにしなければクビになる」
男性が「自分がもっと働くから辞めてくれ」と懇願しても、妻は譲らなかった。「息子を留学させるためにお金を貯めないといけない。社長も社員も私がいないとダメだと言っている。私が辞めれば会社が潰れる」
夫婦の息子までもが「お願いだから仕事を辞めて」と泣いて懇願したが、効果はなかった。
妻は「経理業務だけにする」と約束したものの、結局、再びガソリンスタンドで働いているところを男性に見つかり、叱責されると「私は疲れていないのに、なぜあなたが辞めさせようとするのか」と逆ギレしたという。
男性はこう心情を次のように語った。
妻が深刻にガスライティングされていてショックを受けている。朝9時から深夜2時まで働く「現代版の奴隷」になってしまった。まるでカルト宗教にでも取り込まれたかのようだ――。
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