「北朝鮮」とは我々にとって何なのか。他国なのか、それとも国内の反乱勢力なのか――韓国社会はこの問いに70年以上答えを出せていない。3年間続いた国際的な戦争を、何十年も経ってからも韓国では「6.25」という「戦争が始まった日付」だけで呼び続ける。
「6.25」に適切な名前を付けることは、まず「北朝鮮」に対する概念の確立から始めなければならない。6.25の名付けをきっかけに、北朝鮮をどのような存在とみなすかという社会的な議論を開始するべきだ――専門家らはこう提案する。
「6.25」は、韓国国外では「The Korean War(朝鮮戦争)」と呼ばれる。これは外部からの視点を反映した名称だ。一方、北朝鮮は「祖国解放戦争」と呼ぶ。自国統治の正当性を与え、徹底的に偏った名称を付けている。
米国では、1861年に勃発した南北戦争を「The Civil War(内戦)」と呼ぶ。米国は奴隷制度を巡る対立から起こったこの戦争を「内戦」と名付けることで、連邦内での衝突であったことを明確に示している。誰が悪かったか、誰が勝利したかといった内容は含まれていない。
専門家らは「6.25」の名称を巡る議論が、イデオロギーの対立に発展し、適切に議論が進められてこなかったと指摘する。
韓国政府系シンクタンク、統一研究院のチョ・ハンボム(趙漢凡)専任研究員は「いかに我々が北韓(北朝鮮)に関する議論に対して脆弱なのかは、分断の原因となった戦争の名称すら合意できていないことで明らかだ。それぞれのイデオロギーや歴史観を反映して解釈するためだ。今こそイデオロギーを超えて、激しい議論を通じて合意を導き出すべだ」と訴える。
梨花女子大のパク・ウォンゴン(朴元坤)教授は「イデオロギーを排除して、事実に基づいて南北分断がどこから始まり、その原因が何であったかという歴史的事実をまず確立する必要がある」と指摘する。
新たに定めるべき名称については意見が分かれている。
韓国・国家安保戦略研究院(INSS)のピョン・サンジョン北韓研究室長は「6.25を超え『自由守護戦争』のような概念を確立すれば、その言葉自体に北韓を我々の自由民主主義体制に取り込むという意味が含まれる」とみる。
一方、匿名を求めたある統一専門家は「米国と同じように『南北戦争』という表現を使って、最も中立的な名称を使用すべきだ。北韓は我々の民族であり、最終的には一緒に歩んでいく存在だという点を強調する必要がある」と主張する。
韓国国立外交院院長を務めたことのあるキム・ジュンヒョン(金峻亨)氏=進歩系野党「祖国革新党」議員=は次のようにみる。
「国際的な戦争である点を強調する『韓国戦争』が正しいと思う。南侵(北朝鮮の南侵略)という事実も重要だが、米国がアジアの秩序を構築する過程で韓国を分断させたという事実もあるからだ。建国記念日の論争と同様に、6.25戦争に対する名称問題も学問的・歴史的な観点に基づくものであり、激しい論争に発展する可能性がある問題だ」
(つづく)
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