2025 年 5月 8日 (木)
ホーム政治有罪なら失格? 韓国野党が挑む“立法戦”と「李在明生き残り」のシナリオ

有罪なら失格? 韓国野党が挑む“立法戦”と「李在明生き残り」のシナリオ

2025年5月3日、カフェ通りで市民にハートを描いて応じるイ・ジェミョン(李在明)大統領候補(c)news1

韓国の次期大統領選で、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補は、「国民の力」から指名されたキム・ムンス(金文洙)前雇用労働相との対決に臨むことになった。しかし、これが最終構図と見る向きは少ない。キム・ムンス候補に加えて無所属で出馬中のハン・ドクス(韓悳洙)前首相との候補一本化、さらに“司法リスク”という複合的な課題がイ・ジェミョン候補を取り巻いている。

民主党は4日、国会で緊急の非常議員総会を開き、10日後に迫ったイ・ジェミョン候補の公職選挙法違反事件に関する大法院(最高裁)からの差し戻し審の初公判について協議した。

今回の事件は、大法院がわずか9日で一審の無罪判決を破棄し、有罪趣旨でソウル高裁に差し戻したもので、そのスピード感が異例だとして政界・法曹界でも注目されている。

判決が出された直後の2日には、ソウル高裁が事件を受理し、即日で裁判部を構成。15日に初公判を開くと発表した。こうした進行の速さから、大統領選前に有罪判決が下される可能性も現実味を帯びてきた。

ただ、仮に差し戻し審で有罪が出たとしても、イ・ジェミョン候補側が再上告すれば大統領選前に確定判決が出る可能性は低い。しかし、罰金100万ウォン以上の判決となれば、被選挙権を失うため、候補者本人と党にとっては重大な打撃となる。

これを阻止すべく、民主党は「立法戦」に着手した。まずは大統領当選前の裁判を当選と同時に停止できるようにする刑事訴訟法改正案を国会法制司法委員会に提出し、大統領選前の通過を目指す。

加えて、大法院の裁判官数を現行14人から30人に増やす改正案や、裁判官のうち3分の1以上を裁判官・検察官出身以外の人物から任命するよう義務付ける改正案なども発議された。さらに、憲法訴願審査の対象に「裁判所の判決」を加える憲法裁判所法改正案を準備中とされる。

仮に大法院で有罪が確定しても、その後に憲法裁判所へ訴え、再審査を受ける意向だと解釈される。

民主党はこうした「立法戦」に加え、世論戦も展開している。2日には約60人の民主党議員が大法院前で「司法の信頼を損ねた」として抗議集会を開いた。また、イ・ジェミョン候補の支持者たちは「大法院判事が7万ページに及ぶ記録を精査したのか」を問う形で、100万人署名運動を開始した。

さらに、党内の若手議員グループを中心に、判事への弾劾論も浮上している。裁判を担当するソウル高裁に対しても圧力が強まっており、元判事のチェ・ギサン議員は「違法な裁判によって弾劾を招くような事態は避けるべきだ」と警告を発した。

イ・ジェミョン候補は「党と選対本部が国民の意思に従って適切に対応する」と語っているが、党がここまで動く背景には「生き残りを賭けた戦い」がある。

一方、キム・ムンス候補は、大統領候補受諾演説で「イ・ジェミョン勢力の執権を阻止するためなら、どのような勢力とも強力な連携を構築する」と述べ、“反イ・ジェミョン連合”の構築を強調した。

これに対し、イ・ジェミョン候補は「韓国にとっての喫緊の課題は憲法秩序を破壊する勢力に責任を問うことだが、(キム候補は)全く逆を行こうとしており残念だ」と批判。民主党側も「キム候補を最終候補と見るべきか疑問だ」「国民は“内乱勢力”同士の争いを見せられているようなもので、国民に対する裏切りだ」と非難した。

政界では主要各党の候補が出揃ったことで、来週にかけて発表される複数の世論調査に注目が集まっている。これまで圧倒的な支持率1位を維持してきたイ・ジェミョン候補が、今後もその優位を保てるのかが焦点となる。一方で、支持率が低下すれば、民主党とイ・ジェミョン候補陣営にとっては戦略の再構築を迫られることになりそうだ。

(c)news1

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