2025 年 12月 7日 (日)
ホーム政治北朝鮮最高指導者だけの表現「現地指導」、金正恩総書記以外に使った北朝鮮公式メディア…崔龍海氏の権威が浮上か

最高指導者だけの表現「現地指導」、金正恩総書記以外に使った北朝鮮公式メディア…崔龍海氏の権威が浮上か

チェ・リョンヘ(崔龍海)最高人民会議常任委員長の「現地指導」を伝える労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮で形式上の序列2位とされるチェ・リョンヘ氏(崔龍海)最高人民会議常任委員長の地方視察を、朝鮮労働党機関紙・労働新聞が「現地指導」と表現した。「現地指導」は通常、最高指導者のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の活動にのみ使われる言葉であり、チェ・リョンヘ氏の権威が一層強化されたことを示すとみられる。

労働新聞は9月14日、チェ・リョンヘ氏が黄海南道や黄海北道の農場を「現地で指導」したと報道。6月にも黄南鋼鉄工場などを「現地で指導」したと伝えた。北朝鮮で「現地指導」とは最高指導者が経済・軍事現場を視察する際にのみ用いられ、他の幹部には通常「了解」という表現が使われる。

チェ・リョンヘ氏は、キム・イルソン(金日成)主席と共に抗日パルチザン闘争に参加したチェ・ヒョン(崔賢)人民武力部長の子息であり、「革命烈士」とされた家系出身だ。最近、北朝鮮は5000トン級新型駆逐艦の1番艦を「崔賢号」と命名するなど、チェ家の象徴性を強調している。

チェ・リョンヘ氏自身も組織指導部長、軍総政治局長といった党・軍の要職を歴任し、キム・ファミリーの唯一領導体制を支えてきた。韓国国会の報告書も、2017年に党組織指導部長に就任して以降、側近が党・政・軍の要職に多数登用されるなど、権力集中の現象が見られると指摘している。

過去には2020年の台風被害復旧時、首相や政治局常務委員ら複数幹部に対しても「現地指導」の表現が使われたが、今回のチェ・リョンヘ氏の場合は経済分野を単独で担当した点で異なる。専門家の間では「最高指導者の権限を委任され、事業現場を指導する姿勢を強調するためのもの」との見方と同時に「最高指導者不測の際に代理可能な存在として格上げされた可能性もある」との分析が出ている。

匿名の北朝鮮専門家は「『現地指導』は依然として極めて敏感な表現であり、序列変化の兆候として注視する必要がある」と述べた。

(c)news1

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