
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が、ユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏に対する特別検察(特検)法を裁可したことを受け、キム氏の出頭が最大の焦点として注目されている。
キム氏はこれまで検察による出頭要請に対し、「健康上の問題」「大統領選の影響」などを理由に拒否を続け、各種疑惑についても「犯罪構成要件に該当しない」とする意見書を提出して応じてこなかった。今後、出頭の可否は特検の手に委ねられる見通しだ。
イ・ジェミョン大統領は11日、自身のSNSで「イ・ジェミョン政権の第1号法案として、内乱特検・キム・ゴニ特検・殉職海兵隊員特検という『3大特検』を発足させる」と発表。「内乱の責任追及と憲政秩序の回復という国民の願いを、国政全般に反映させていく」と述べた。
10日に開かれた閣議では、与党「共に民主党」の主導で国会を通過した「3大特検法」が議決された。
なかでもキム・ゴニ特検は対象となる疑惑が16項目と最多であり、特検3件の中でも最大規模とされる。
調査対象には▽ドイツモータース株価操作疑惑▽高級ブランドバッグの受領疑惑▽海兵隊・税関の麻薬事件に関する口利き疑惑▽ソウル―楊平(ヤンピョン)高速道路の路線変更疑惑▽公認候補選定への介入疑惑――などが含まれる。
現在、検察はキム氏に関する捜査を▽政治ブローカーのミョン・テギュン氏関連の公認介入疑惑▽シャーマン「乾真法師」として知られるチョン・ソンベ被告に関連する不正請託疑惑▽ドイツモータース株価操作事件の再捜査――の3方向から進めている。
特にソウル中央地検のミョン・テギュン疑惑担当チームは今年2月からキム氏側に対し面談の必要性を伝え、5月14日には被疑者としての出頭を求める通知書も発送していた。しかしキム氏側は、大統領選に影響を与えることや、イ・ジェミョン大統領自身の公選法違反事件が大統領選後に延期された事例、またムン・ジェイン(文在寅)元大統領が収賄容疑に問われながらも出頭せず起訴された前例を挙げて、不出頭を正当化してきた。
また、今月9日に提出されたキム氏側の意見書では、公認介入疑惑だけでなく、世論調査の不正操作、対価性資金提供の疑惑などについても「犯罪事実として矛盾している」と主張し、全面的に否定した。
検察は、特検が構成され事件が移管されるまで、予定通りの捜査を続行する方針。現在は2回目の出頭に向けてキム氏側と日程調整をしているという。ただし意見書の提出により、特検発足前の出頭は実現しない可能性もある。
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