2024 年 5月 19日 (日)
ホーム社会昼はソウル、夕方は城南…食事求めて“遠征”する高齢者

昼はソウル、夕方は城南…食事求めて“遠征”する高齢者

7日午前、明洞食堂を訪れ、食事をする高齢者たち(c)NEWSIS

「昼食はソウル市鍾路区(チョンノグ)のタプコル公園で食べて、夕食は京畿道(キョンギド)城南市(ソンナムシ)の牡丹(モラン)に行く。夕飯をもらえるから」。韓国で体感気温が氷点下になる寒さが続く中、無料給食所を訪れる脆弱階層の高齢者たちが増えている。物価高が進み、昼食と夕食の両方とも無料給食所でとるため、遠くからやってくる高齢者もいる。

今月6日、体感氷点下5度の寒さの中、60代のイさんは昼食を得るためにタプコル公園の「円覚寺(ウォンガクサ)無料給食所」を訪れた。

イさんはタプコル公園近くの「考試院」(簡易宿所)に一人で住んでいるが、視力が弱いため自身でご飯を作って食べられないという。

7日午前、ソウル・明洞聖堂近くの無料給食所「明洞食堂」で待機する高齢者ら(c)NEWSIS

平日だった今月7日の昼休み、無料給食所「明洞(ミョンドン)食堂」には725人の高齢者が集まった。基礎生活受給者(国民基礎生活保障法により国から基礎生活費を支給される人)のキムさん(71)は「物価が上がりすぎて食事もしっかりとれず、電気もあまりつけない」と話す。

京畿道高陽市(コヤンシ)から来た80代のキムさんは、宅配の仕事をする同僚たちの紹介を受け、無料給食所を知ったという。キムさんは「物価が高くて自費でご飯を食べられず、無料でご飯をくれるところを探し回っている。円覚寺無料給食所と『東大門区パッポ(給食奉仕活動)』などに通っている」と話した。

昼食と夕食の両方を無料給食所に頼る人もかなりの数に上る。

円覚寺で会ったイさんは「夕方は、京畿道城南市にある無料給食所に行く。公共交通機関で1時間以上かかるが、夕食をもらうために行かざるを得ない」と話す。

円覚寺無料給食所のカン・ソユン総務は「大部分の給食所は公平に1食ずつ提供する仕組みなので、高齢者は互いに情報をやりとりしながら無料給食所を訪ね歩く」と話している。

家族と疎遠になり、地下鉄の駅で過ごすというパクさん(51)は「だいたい、無料給食所で食事を済ませている。夕食はいつも光化門(クァンファムン)無料給食所だ」と話した。

物価の上昇とともに、無料給食所を訪れる高齢者は日を追うごとに増えている。明洞食堂を運営するチャン・ソクフン事務局長は「普段の平日は650~700人程度だが、7日は725人。かなり増えた」という。

明洞食堂を訪れた高齢者たちが食事をしている(c)NEWSIS

問題は、無料給食所の食材費負担も増えている点だ。支援基盤がしっかりしているところは、これまで通り食事提供を維持できる見込みだが、そうでないところは食事の提供数を減らすなどしている。

明洞食堂センター長であるペク・グァンジン神父は「団体が寄付してくれる食材があり、着実に寄付してくれる人もいるので、大きな問題はない」としながらも「食材価格が40%も上がり、やはり負担は増えている」と本音をもらす。

ペク神父は「昨年は一食3700ウォン程度の費用を予想していたが、今は4500ウォンまで見積もっている」とため息をついた。

円覚寺無料給食所は事情がさらに厳しい。物価が上がり、支援も減ったため、食事提供数を減らした。カン総務は「以前は360人程度の高齢者に食事を提供していたが、物価高などの影響で今では270人台にとどめている」と訴えた。

(c)NEWSIS

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