◇コロナ後遺症と錯視効果
映画関係者は「犯罪都市2」が軽く1000万観客を達成したことが錯視を起こしたと判断する。ソーシャルディスタンス解除直後に封切りし、報復観覧効果があったという点、俳優ソン・ソックがシンドロームに近い人気を享受したという点など、さまざまな特殊状況が重なって作られた「異例の興行記録」を、映画全体の回復と勘違いしたという指摘だ。
国内製作会社の関係者は「『犯罪都市2』の興行が新型コロナウイルス感染の“後遺症”に対する憂慮を忘れさせた。『宇宙+人 1部』が封切り初の週末に100万人を超えられないのを見て目が覚めた」という。
一例として「宇宙+人 1部」のメディア試写会直後、業界では作品に対する好き嫌いが分かれることを予想し、この映画興行成績を500~600万人と予想した。実際の観客の動きを全く予測できなかったのだ。
「犯罪都市2」と「トップガン マーヴェリック」の興行により、コロナ後遺症がしばらく姿を消していたが、この夏から存在感を示している――これが業界関係者の見方だ。
これからが本格的なコロナ後遺症の始まりというわけだ。
◇負担になるチケット代
一部では映画チケット価格上昇が観客数の要因になったのでは、という見方もある。
CGV・ロッテシネマ・メガボックスなど韓国の劇場チェーンは、コロナ以後、経営状況が急激に悪化するや否や、チケット価格を数回引き上げた。現在、平日の一般上映館で映画1本を見るためには、1人当たり1万4000ウォン、週末には1万5000ウォンを支払う必要がある。コロナ前と比べると30%ほど上がった。これはオンラインストリーミング1カ月の購読料の2~2.5倍だ。
映画館で映画1本見るのにかかる費用が大きくなったため、映画もさらに慎重に選ぶようになる。オンライン上でレビューを徹底的に検索してみるのが自然になったということだ。
劇場関係者は「コロナ前には口コミと関係なく、デートしながら映画を1本見るというのが一般的だった。今はそのような文化が多く消えた」と述べた。
◇パラダイムシフト
映画界は、年中最大の繁忙期である夏の市場が縮小したことを目撃した。そして、映画界に激変の時期が来たと見ている。
コロナを体験している時、まず生存に集中した。そしてコロナが過ぎた後は、いかにして観客を劇場に引き入れるか悩まなければならない。
関係者は観客減は製作本数減少につながる。製作する映画の類型に変化を与え、シナリオを見る目を高め、広報・マーケティング方法も変わるというのが一般論だ。
映画関係者が懸念するのは、観客数減が結局、映画産業そのものを縮小させるおそれがある、という点だ。
国内投資・配給会社関係者は「今は映画界全体がショック状態だ。状況がどのように変わることになるか、どのように対応すべきか、誰も判断を下せない。ただし確実なのは、映画界も、以前とは全く異なる状況を迎えたという点だ」との見解を示している。
©NEWSIS