SF映画「TIME/タイム」(2011年)で描かれた未来社会の要素が現実に近づいている。
映画では、すべての人間が25歳で老化を止め、腕に刻まれた「カウントダウン時計」で残り時間を管理し、日常生活に必要なものを購入する設定が登場する。
その象徴的なシーンで見られる「腕ディスプレイ」が、現実で実現可能な技術として開発された。
韓国・蔚山科学技術院(UNIST)新素材工学科のチョ・ムンギ教授が今月16日、ソウル・コエックスで開催される「2024テックマケット」で披露する「量子ドット(Quantum Dot)ディスプレイ」技術がそれだ。
量子ドットとは、ナノメートルサイズの半導体結晶で、強い光を発する特性を持つ。現在、QLEDテレビに用いられている。
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の小型ディスプレイに応用するには、高解像度と発光効率の両立が課題とされていた。
チョ教授の研究チームは、スタンプ型の圧力を用いた新しい「乾式転写パターニング」技術でこの課題を克服した。この方法では、スタンプを用いてナノ粒子と量子ドットを高密度に集め、電流の流れを改善することで発光効率を向上させることができる。
この技術により、最大23.3%の外部量子効率(EQE)を達成し、理論上の最大値に近づいた。
チョ教授は、この技術が電子タトゥーのような「皮膚に貼り付けるウェアラブル機器」として発展する可能性を示唆している。
血糖値や血圧を肌に表示する時代が来るかもしれない――とされ、自動車業界からも注目を集めているという。
(c)MONEYTODAY