2024 年 12月 22日 (日)
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日米韓共同声明の随所に盛り込まれた「中国けん制」メッセージ (下)

バイデン米大統領(中央)(c)ロイター/news1

あわせて3カ国首脳は「国連海洋法条約(UNCLOS)に整合した形での、航行及び上空飛行の自由を含む法の支配に対する確固たるコミットメントを改めて表明した」と強調した。これもやはり、中国当局の東・南シナ海など海洋進出の動きや、一方的な海洋資源開発などが国際法精神に符合しないという点を指摘したものと考えられる。

日米韓が今回の共同声明の中で、経済安全保障分野での協力を強調した部分からも「中国けん制」のメッセージを読み取ることができる。

声明では▽安全かつ強靭なサプライチェーン▽信頼性のある自由なデータ流通の促進――などが強調された。対中依存度が高い鉱物などの資源「兵器化」への懸念とともに、知的財産権問題など「グローバルスタンダード」に合わない情報・コンテンツ流通に関するものと解釈されている。

また、声明では科学・バイオ・先端通信など新興技術分野に対する協力意思を明らかにし、いわゆる「技術同盟」を指向するという点を隠さなかった。韓国と米国・日本・台湾間で議論されている半導体サプライチェーン対話「チップ4」がその代表的な事例だ。

中国当局は、米主導でスタートしたインド太平洋経済枠組み(IPEF)と同様に「チップ4」に対しても自国経済に及ぼす影響を注視し、警戒している。デジタル経済や供給網などは今後、IPEFでも集中的に扱われる分野だ。

日米韓首脳はこのほかにも、声明で「3カ国は、経済的威圧に一丸となって反対し、持続可能で透明性のある貸付慣行を支持する」と明らかにした。中国が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」においてアジア・アフリカ低所得国家に提供された大規模借款の相当部分が各国の負債として残り、経済的な従属につながった現実を皮肉ったものとみられる。

(c)news1

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