韓国・済州航空機事故に関連した悪質投稿が相次ぎ、投稿者のIDやIPアドレスを公開する「インターネット準実名制」の導入を巡る議論が再燃している。匿名性が悪質投稿の温床になっているとの指摘と、実名化が自由な言論形成を妨げるとの懸念が交錯している。
警察庁国家捜査本部によると、現在までに事故に関連する悪質投稿をした3人が摘発され、合計163件の投稿が捜査対象となっている。ネイバーやカカオなど主要なオンラインプラットフォームも投稿管理を強化しているが、コミュニティやSNSでは悪質投稿が絶えず、対応の限界が指摘されている。
2007年に導入された「インターネット実名制」は、憲法裁判所の違憲判決により5年後に廃止された。その後、IDとIPアドレスを公開する「準実名制」が議論され、2021年には関連法案が国会で審議されたが廃案となり、実現していない。
準実名制は、匿名性の是非が議論の中心となっている。一部では、匿名性が悪質投稿を助長するとして導入を求める声がある。一方で、表現の自由やオンラインでの自由な意見交換が制限されるとの懸念も根強い。
建国(コングク)大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授は「準実名制よりも、インターネット利用文化の改善が必要だ」と述べ、導入がかえって利用者の意見表明を妨げる可能性を指摘した。一方、国民(クンミン)大学のイ・ホソン教授は「準実名制は利用者に責任感を促し、自浄作用を期待できる」として、実名制の投稿掲示板を設置するなど、規制と自由のバランスを取る方法を提案した。
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