韓国のモバイル金融サービス「トス(Toss)」が格安フォン事業に参入し、市場での激戦が予想されている。古参の通信3社の子会社はもちろん、同じ金融業界であるKB国民銀行、小規模企業との競争がさらに加熱する兆しを見せている。トスの加勢について、格安フォン業界は「公正な競争になるなば反対する理由がない」という立場だが、莫大な資本を持つ金融業者の相次ぐ市場参入への警戒感が高まっている。
◇国民・新韓銀行と激突
トスを運営するフィンテック企業「ビバ・リパブリカ(Viva Republica)」は21日、格安フォンのマーチャント・コリア(Merchant Korea)の持分100%を買収する株式売買契約を締結したと明らかにした。マーチャントコリアは加入者10万人前後の中小格安フォン業者だ。
トスはアプリで格安フォン加入サービスを披露する。格安フォン料金制の検索からワンストップ開通まで、加入の全過程を革新し、家計固定支出の相当部分を占める通信費節減の機会を提供するという計画だ。
トスで事業戦略を担当するチャン・ミニョン氏は「トスが金融サービスを通じて顧客の時間と費用を節約して社会的効用を創出したように、格安フォン加入顧客の不便さを解消し、トス顧客の通信費節減に寄与しようと思う」と話した。
トスが格安フォン事業に本格進出することで、従来の通信会社のほか、KB国民銀行との競争も本格化するものと予想される。
KB国民銀行は2019年12月から「KB Liiv M」というブランドで格安フォンサービスを提供している。強大な資本を背景にして、類例のない「低価格マーケティング」により、発売2年5カ月で30万人の加入者を集めた。現在、「KB Liiv M」はLTE 11GB料金制を2万ウォン半ばで販売している。これはネット使用代価(原価)より1万ウォン低い水準だ。
新韓(シンハン)銀行も最近、格安フォン提携マーケティングを開始した。新韓銀行はモバイルバンキングアプリ「新韓ソル(SOL)」に格安フォン加入イベントページを開き、KTネットを使用するKT Mモバイル、スカイライフ、ステージファイブ、世宗テレコムの格安フォン事業者の12種類を提携料金で販売する。
新韓銀行は「単純に販売プラットフォームを提供するだけ」という立場だが、業界では「KB Liiv M」の金融サンドボックス期限が終わる来年4月を控え、格安フォン事業に参入するための準備過程と見ている。
このほか、NH農協銀行も同様に、格安フォン市場への進出を検討しているという。
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